宇宙ごみ衝突で帰還延期、神舟二十号宇宙飛行士、14日に無事帰還へ

2025/11/14 09:11

中国人宇宙飛行士工程弁公処は11月14日、神舟二十号の宇宙飛行士チーム――陳冬(チェン・ドン)、陳中瑞(チェン・ジョンルイ)、王杰(ワン・ジエ)が、神舟二十号宇宙船に搭乗し、内モンゴル自治区の東風着陸場に帰還することを発表した。3人の健康状態は良好で、着陸場および各支援システムは、帰還準備を急ピッチで進めている。帰還後、順次神舟二十二号の打ち上げを予定しており、中国宇宙ステーションの運用がさらに活発化する見込みだ。

神舟二十号は今年4月24日に酒泉衛星発射センターから長征二号Fロケットで打ち上げられ、約半年にわたる軌道上任務を完遂した。陳冬指令長は神舟十一号と神舟十四号に続き3度目の宇宙飛行を果たし、経験豊富なリーダーシップを発揮。陳中瑞と王杰の若手メンバーは、材料科学実験、生命科学観測、船外活動などの任務を遂行し、中国宇宙ステーション「天宮」の安定運用に貢献した。特に、11月4日には神舟二十一号チームとの引き継ぎ式が行われ、宇宙ステーションの「鍵」をスムーズに渡した。軌道上での「宇宙教室」活動では、地上の生徒たちとリアルタイム交流を行い、宇宙教育の普及に寄与した。

しかし、この帰還劇は一筋縄ではいかなかった。原定の11月5日帰還が突然延期されたのだ。中国人宇宙飛行士工程弁公処の発表によると、神舟二十号宇宙船が軌道上で微小な宇宙ごみ(スペースデブリ)の衝突を受けた疑いが浮上。地上の監視システムが推進カプセル尾部の散熱パネルに直径約5ミリの穿孔を発見し、酸化剤貯蔵タンクの圧力が急低下、外部温度センサーの異常変動を検知した。これを受け、影響分析とリスク評価を即座に開始。宇宙飛行士の生命安全と任務成功を最優先に、帰還を9日遅らせて14日に変更した。この決定は、中国有人宇宙飛行史上で初めての「宇宙ごみ衝突による帰還延期」として注目を集めている。

中国の対応は迅速かつ科学的だった。衝突検知後、工程チームはシミュレーション分析、試験、安全性評価を連日実施。神舟宇宙船の設計には、ケブラー繊維複合材や自動回避アルゴリズムなどの多層防護が施されており、微小衝突の影響を最小限に抑えられるよう工夫されている。延期期間中、6人の宇宙飛行士(神舟二十号と二十一号の合同チーム)は軌道上で共同作業を継続。生命維持システムは6人分を想定しており、食料・水・酸素の備蓄は十分で、精神的ケアも地上から提供された。結果、追加の科学的データ収集が可能となり、任務の価値はむしろ向上した。

東風着陸場では、救出ヘリコプター、医療チーム、気象監視システムが待機。陳冬たち3人の「安全凱旋」は、中国の「航天夢」を象徴する。

(中国経済新聞)