第8回中国国際輸入博覧会で、シーメンスは10種類を超える産業用AI製品とソリューションを展示し、人工知能技術の産業応用における成果を発表した。自社の技術革新から産業現場での応用、さらに産業エコシステムの共創に至るまで、AIを中心としたイノベーション・バリューチェーン・産業チェーンの融合を提示し、新たな産業成長の原動力を打ち出した。
会場では、AI関連の新たな取り組みや協業発表が行われ、第3回「ゼロカーボン・パイオニア賞」の授賞式も実施された。さらに、複数の中国企業との協力協定も締結し、グローバルな成長機会の共有を強調した。

シーメンスのグローバル執行副社長であり、中国地区董事長(取締役会会長)・総裁兼最高経営責任者(CEO)の肖松(シャオ・ソン)氏は次のように述べた。
「過去8年間、中国国際輸入博覧会は中国と世界の産業、技術革新、エコシステムの分野で深い交流を推進してきました。AI時代を迎える今、その意義はますます大きくなっています。シーメンスは“皆勤生”として、この開かれた協力の場を通じて、高品質なデータ、豊富な産業知識、ソフト・ハード一体型の強みを活かし、中国企業とともにAIを産業現場へ深く融合させ、中国のデジタル化と脱炭素化をさらに加速させていきます」。
「ハノイの塔AI対決」で示す、“思考から行動へ”のAI力
展示会場では、来場者が参加できるユニークな「ハノイの塔AI脳力対決」が注目を集めた。来場者がランダムに積み替えた“ハノイの塔”を、複数のAI大規模言語モデルが競い合い、最適な解法を導き出すという内容だ。
この対決を支えるのが、シーメンスの三次元協働・検証プラットフォーム「ミオバース(妙一空間)」である。AIとデジタルツイン技術を融合し、AIが提示した解法を機械言語に変換して仮想環境で検証。成功すると、指令が会場のロボットアームに送られ、実際に塔を組み上げる。この一連の過程を通して、AIが“考える”だけでなく“行動する”までの産業応用プロセスを直感的に体験できる仕組みとなっている。
多分野で進む産業AIの実装
今回の出展では、自動車製造、化学、冶金など多様な分野における産業AI導入の成果が紹介された。シーメンスは、AIによってどのように生産効率を高め、産業の高度化を実現しているかを具体的な事例を通して示した。

また、AIを活用した中核技術群も発表。スマート研究開発・製造、インフラ、交通などの領域で、AIによる生産性向上と付加価値創出の可能性を提示した。
例えば、スマート製造分野では、AIと没入型設計を融合したエンジニアリングプラットフォーム「デザインセンター」を会場でデモ展示。エンジニアは自然言語やXR(拡張現実)デバイスを使って三次元モデルをリアルタイムに操作でき、AIの支援により設計プロセスの効率化と創造性の向上を実現している。まるでデジタルモデルと“対話”するように設計を進められる点が特徴だ。
オープンな共創エコシステムの拡大
シーメンスは、オープンな共創エコシステム「シーメンス・アクセラレーター(Xcelerator)」を通じて協業を推進している。現在、300社を超える中国企業が参画しており、そのうちAI関連企業は60%以上、AI共創ソリューションは全体の3分の1を超えるという。今回の博覧会では、複数のパートナー企業とともに最新の共創成果を発表し、「共有・共創・共栄」の理念を体現した。
「ゼロカーボン・パイオニア賞」で脱炭素を加速
今年は、シーメンス中国が「ゼロカーボン・パイオニア計画」を発表してから4周年を迎える。シーメンスは現在、中国国内で工業情報化部が認定する国家級グリーン工場を11カ所有し、1万社以上の顧客の省エネ・排出削減を支援。さらに、500社を超える主要サプライヤーの脱炭素化を後押ししている。
“進博会の常連”として、シーメンスはAI・脱炭素・産業の未来をつなぐ技術の力を通じて、中国市場と共に持続可能な成長の新時代を切り拓こうとしている。
(中国経済新聞)
