広東省、町村合併による行政コスト削減

2025/09/23 19:58

近年、中国各地で町村合併が進められており、行政管理の階層を減らし、コストを節約し、行政効率を向上させ、町村経済を強化する取り組みが広がっている。広東省の汕尾、掲陽、肇慶の3都市は最近、鎮(町)村合併を推進する公告を相次いで発表した。これにより、行政コストの削減と地域経済の活性化を目指している。

過去20年以上にわたり、中国は「鎮を街に変更」「県を市に変更」「県を区に変更」「省都の拡張」など、増量拡大を志向する区画調整を繰り返してきた。しかし、人口構造の変化や都市がストック型(既存資源の活用)時代に突入したことで、区画調整のバランスは縮小方向に傾き始めている。「町村合併」や区・県の調整が次々と実施されるようになったのだ。

多くの人が、東北や中西部地域が人口減少による調整を避けられないと考えていた中、広東省が率先してこの動きに踏み切ったことは驚きである。広東省は人口規模で中国最大であり、人口の純流入が最も多い省として、成長を維持してきた。それでも、全体的な人口増加と一部地域の人口減少、都市部の人口増加と区・県や町村の人口調整は矛盾しない。人口は全国規模で「東南への移動(孔雀東南飛)」を起こす一方、省内でも地域間で移動している。

今回、合併対象となった鎮村の多くは、粤東、粤西、粤北地域や珠江デルタの周辺部に位置している。これらの地域には共通の特徴がある。すなわち、面積が小さく、戸籍人口が少ない上に、「人戸分離」現象が見られるのだ。「人戸分離」とは、常住地と戸籍地が異なる状態を指し、簡単に言えば、多くの住民が他地域に出稼ぎに行っている状況である。

鎮村合併により、行政機関の簡素化とコスト削減が実現するだけでなく、区域資源の統合や空間配置の最適化も図られる。これは、20年以上前の大規模な鎮村合併を想起させる。当時は高度経済成長期であり、鎮村経済を拡大し、急速な発展に対応することが主な目的だった。その結果、GDPが千億元を超える「強鎮」が誕生し、広東省は全国トップ40の鎮村のうち40を占める「強鎮経済」のリーダーとなった。

今回の合併は、以前の背景とは異なるものの、目標は変わらない。行政コストの削減と同時に、鎮域経済を拡大し、「百千万工程」(広東省の地域振興プロジェクト)の構築を支援することである。人口流動や経済構造の変化に対応し、限られた資源を効率的に活用することで、地域の競争力を高める狙いがある。

広東省のこの動きは、人口流入が続く経済大省が、縮小する地域の課題に直面しながらも、持続可能な発展を模索する姿を示している。鎮村合併は、単なる行政の効率化を超え、地域資源の最適化と経済の再活性化に向けた戦略的な一歩と言えるだろう。今後、この流れが区や県の合併へと拡大するのか、注目が集まる。

(中国経済新聞)