中国交通運輸部、「水素(液体水素を含む)道路輸送技術規範」を発表

2025/09/16 12:12

9月16日、中国交通運輸部は「水素(液体水素を含む)道路輸送技術規範」を含む7つの交通運輸業界標準が審査を通過し、正式に発表されたと公表した。この規範は、水素(UN1049)および液体水素(UN1966)の道路輸送における装備条件、輸送、停車、緊急対応などの要件を定めるもので、長管トレーラー、タンク車、管束式コンテナ、タンク式コンテナなどを用いた水素(液体水素を含む)の道路輸送に適用される。以下、この規範の概要とその意義について詳しく説明する。

「水素(液体水素を含む)道路輸送技術規範」は、水素および液体水素の安全かつ効率的な道路輸送を確保するための技術基準を定める。具体的には、輸送に使用する車両やコンテナの設計・構造基準、輸送時の安全管理、停車時の安全確保、事故や緊急事態への対応手順などが含まれている。この規範は、水素が可燃性かつ高圧の特性を持つため、輸送過程でのリスクを最小限に抑えることを目的とする。特に、長管トレーラーやタンク式コンテナなど、さまざまな輸送装備に対応した詳細な規定が設けられている。

水素は、クリーンエネルギーとして世界的に注目されており、中国でも「カーボンニュートラル」目標達成に向けた重要なエネルギー源と位置づけられている。燃料電池車(FCV)や水素を利用した産業の拡大に伴い、水素の生産・輸送・利用の需要が急速に増加している。しかし、水素の輸送は、その特殊な物理的特性から高い安全性が求められる。今回の規範の発表は、水素関連産業のサプライチェーンを強化し、安全な物流網を構築するための重要な一歩となる。

ウェブ上の情報によると、中国は近年、水素エネルギー産業の発展を加速させており、2025年までに水素関連のインフラ整備をさらに進める計画である。特に、液体水素はエネルギー密度が高く、長距離輸送に適しているため、今回の規範は液体水素の商業化を後押しするものと期待される。また、この規範は国際的な水素輸送基準とも整合性を図っており、中国企業がグローバル市場で競争力を発揮する基盤を提供する。

「水素(液体水素を含む)道路輸送技術規範」の導入により、中国国内の水素輸送の安全性と効率性が向上する。これにより、水素エネルギー産業の成長が加速し、燃料電池車や水素発電の普及が促進されるだろう。特に、都市間や地域間での水素供給網の構築が円滑に進むことで、クリーンエネルギーへの移行が現実的なものとなる。

一方で、規範の運用には、輸送企業や関連業界による厳格な遵守が求められる。交通運輸部は、今後、規範の実施状況を監視し、必要に応じて追加のガイドラインやトレーニングを提供するとみられる。また、国際的な水素エネルギー市場の動向を踏まえ、さらなる技術基準の更新や国際協調も期待される。

(中国経済新聞)