大連で日本人2名が殺害された事件、容疑者・袁成功の実像

2025/06/5 09:20

6月3日、中国遼寧省大連市公安局は、5月23日に大連市普蘭店区の大劉家街道で発生した日本人2名の殺害事件について、正式な「警情通報」を発表した。24日には中国国籍の容疑者・袁某功(42歳)が逮捕され、事件の背景には経済的なトラブルがあったことが明らかとなった。

その後の報道によって、「袁某功」の本名は「袁成功」であることが判明。彼は大連出身で、2005年に山東大学のコンピューター科学技術学科を卒業後、大連のIT企業でプロジェクトマネージャーとして勤務。2016年に退職し、個人で投資活動を開始した。

2021年、東京で「合同会社SUCCESS」を設立し、代表社員に就任。2023年には第三者からの増資を経て株式会社化し、「株式会社SuccessConsulting」に改称。代表取締役社長となり、資本金は1100万円(約55万元)に増加した。会社の所在地は東京都新宿区高田馬場にある。

興味深いのは、彼が日本国内でのビジネス活動において、日本国籍を持たないにもかかわらず、「源龍助(みなもと りゅうすけ)」という通名を使用していた点だ。この名義で東京都知事発行の宅地建物取引業免許証を取得し、東京商工会議所にも加入していた。日本の「通称名制度」を巧みに利用し、あたかも日本人実業家のように振る舞っていた。

袁成功の会社は、中国本土、台湾、香港、シンガポール、アメリカなどの顧客を対象に、日本国内での不動産投資および資産運用に関するコンサルティングサービスを展開していた。彼自身も、国際ファイナンシャルプランナー(CFP)や宅建士の資格を取得し、TOEICスコアは880点と、意欲的な経営者であった。

富士山麓の河口湖エリアでは、簡易的な温泉宿「富士山水館」を買収し、さらにミネラルウォーター工場「浅間芙蓉」にも出資していた。しかし、これらの施設の経営規模や実態については不明瞭で、特に「浅間芙蓉」に関する製品情報は日本国内では確認されていない。

今回の事件の発端について、大連警察の発表では「ビジネス上のトラブルによる殺意の発生」としており、被害者の日本人2名とは日本国内での事業パートナー関係にあったという。

被害者は「落合」「高野」とされ、不動産投資に関わっていた。特に「富士山水館」の名義に袁成功の名前が記載されていなかったことが、強い不信感と怒りを招いたとの情報もある。また、袁成功は中国国内の銀行から融資を受けていたものの、返済が滞り、訴訟沙汰になっていたとされる。落合氏らへの支払いも履行できず、両者の関係は悪化していたという。

日本のNHKなどの報道によれば、被害者の2名は先に大連に到着し、その後、袁成功が東京から現地に赴いた。なぜ双方は東京ではなく大連で会ったのか、なぜ話し合いの場が国外だったのか、現時点では詳細が明らかにされていない。

結果として、袁成功は2名を大連市内で殺害するという凶行に及んだ。

本事件は、単なる刑事事件にとどまらず、中日間のビジネス交流における信頼構築とリスク管理の在り方に一石を投じるものとなった。国籍や文化の違いを超えて協働するには、明確な契約、第三者による調停制度、異文化間のコミュニケーション能力の向上が不可欠である。

(中国経済新聞)