ソニーはこのたび、これまで中国の合弁パートナーであった上海東方明珠メディアグループとの共同出資会社「上海東方明珠索楽文化発展有限公司」の株式を完全に取得し、社名を「玩站匹五文化娯楽発展(上海)有限公司」へと変更した。これにより、ソニーの持株比率は49%から100%へと引き上げられ、中国におけるPlayStation(プレイステーション)関連事業の完全独立運営が始動する。
この合弁会社は当初、ソニーと東方明珠がそれぞれ49%と51%を出資し、中国本土におけるPlayStationの販売、マーケティング、アフターサービスを担っていた。しかし、過去数年にわたり東方明珠による運営が目立った成果を上げられず、ソニー側は現地市場におけるノウハウを独自に蓄積。結果として、自社での運営体制を確立し、意思決定と市場対応の迅速化を図るため、完全子会社化を決断したとみられる。
中国市場では、ゲーム機に関する規制や認可プロセスが複雑であることから、外資企業が現地企業と組むのが一般的だった。特に「版号」(ゲーム認可番号)の取得などにおいて、現地企業の経験とネットワークが重宝されていた。しかしソニーはここ数年、自社での申請・対応能力を高めており、今後はサプライチェーンの最適化や市場戦略の一元化が期待される。
現在、PlayStation 5は中国市場において累計67万台を販売しており、ユーザー1人あたりの平均消費額は223ドルを超えるなど、収益性の高い市場として成長を続けている。中国はすでにソニーにとって世界第5位のPS市場に成長しており、今回の完全子会社化によって、さらなる市場拡大が見込まれる。
今後は新たなゲームタイトルの導入やハードウェア展開、PlayStation Plusなどの会員サービスの強化が加速すると予想されている。また、ローカライズされたプロモーションや、中国市場に特化した企画開発も進む可能性がある。
ソニーの今回の動きは、中国市場に対するコミットメントの強さを示すとともに、グローバルゲーム市場における競争力強化の一環といえるだろう。
(中国経済新聞)