ブルームバーグやイギリスの「フィナンシャルタイムズ」は10月30日、EUの関係者2名の話として、中国の格安eコマースアプリ「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」傘下の激安越境EC「Temu(ティームー)」に対し、EUが今後数日以内に「デジタルサービス法」に基づき調査を始めると伝えた。Temuは違法行為が確認された場合、最大で世界の年間売上高の6%にあたる制裁金を科される可能性がある。
EUは10月11日、Temuに対し「違法または模倣品」の防止に向けてどのような対策を講じているか10月21日までに返答するように求めたほか、「Temuからの返答を得た後で次の措置を決定する」とも表明していた。
ただし消息筋はブルームバーグに対し、「Temuはすでに返答したが、その内容がEU委員会の懸念を十分に払拭するものではなかった」と述べている。これについてEUの報道官も、Temuが要望通りに返答したことを認めた上で、「返答内容を分析している。正式な調査を始めることになりそうだが、現時点で最終决定は下していない」とも付け加えた。
中国の通販APPはこのところ急速に世界に広まっている。今年1月、市場リサーチ会社のdata.aiが発表した「2024モバイル市場報告」によると、ショッピング系APPの去年のダウンロード数について、中国発の電子商取引(EC)サイト「Shein」が2年連続のトップとなり、Temuが2位、Amazonが3位であった。さらに中国のEC大手・アリババ傘下のAliexpressが9位となっている。中国勢がこぞって海外進出し世界最大手であるAmazonに攻勢をかけており、アメリカやEUの警戒感を招いている。
EUは2022年に成立した「デジタルサービス法」により、今年4月にはSheinを、5月にはTemuを「超大規模オンラインプラットフォーム」に指定し、2社に対して有害性や模造品販売など系統的なリスクを評価し軽減することを定めたルールを守るよう求めてきた。
EUは今年の初めに、SNSや通販サイトであるMeta、AliExpress、TikTok、Xなどに対して正式に調査を始めている。「フィナンシャルタイムズ」によると、最近のある調査の結果、Temuなどオンラインで販売している玩具について「有害であるか子供の健康を脅かす」と見ている人が80%に達していた。アプリでは通常、サプライヤーが販売する商品に対しては免責であるが、管理義務の履行が不徹底だった場合は調査を受ける可能性もあるという。
また、EUは現在、域外からオンラインで購入した商品について、150ユーロ(約2489円)未満であれば関税を免除しているが、複数のEUの関係者は7月に「フィナンシャルタイムズ」に対し、この措置の撤廃に向けて原案を作成する予定と述べている。
(中国経済新聞)