中国のスマホ大手「OPPO」、AIのスタートアップ企業「波形智能」を買収へ

2024/10/26 07:30

10月22日、中国のスマホ大手「OPPO」がAIのスタートアップ企業「杭州波形智能科技」(以下「波形智能」AIWaves Inc.)を買収し、創業者でCEOである姜昱辰氏(Yuchen Eleanor Jiang)もOPPOに転籍する、との情報が出た。OPPOはこれについて、「今のところ他の情報はない」と答え、一方で波形智能の社員は買収情報を確認したと言った上で、「今も普通に営業をしている」と述べた。

APP「天眼査」によると、波形智能は2023年設立で資本金134万元(約2865万円)、払い込み資本は24万元(約513万円)である。実質経営者は杭州無量企業管理パートナー(有限パートナー)で、姜氏が個人または会社を通じて計36.42%の株を有している。姜氏は浙江大学竺可学院を卒業し、チューリッヒ連邦工科大学でProf. Ryan Cotterellの教えを受けて自然言語生成学を学び、博士号を取得している。

今年1月に「藍馳創投」から1000万元(1億円)クラスのPre-Aラウンド融資を受けた波形智能は、中国語による創作の垂直型大規模言語モデル(LLM)「Weaver」を自社開発し、これをベースに作成した作文系の商品「蛙蛙写作」を発表した。プロの小説家やセルフメディアの配信者などコンテンツ作成者の作業効率アップに役立つもので、主に購読会員や個別のサービス料徴収といった形で利益を得ている。

波形智能は公式発表によると、長いテキストの生成について世界的な技術を備えており、「蛙蛙写作」はリリースから1年間でログインユーザー数が30万人以上に達し、200億字近いテキストを生成し、有料ユーザーの1日平均利用時間は6時間以上となっている。

また今年7月末には、マルチモードで無限型、長文生成に対応する形に改良したカスタマイズ適応型個人言語モデル「Weaver2.0バージョン」を発表している。

姜氏はWeaverについて以前、「創作を目的に作ったもので、一番の特長は50B tokensをベースに質の高い中国語コンテンツについて事前トレーニングを行い、改良を重ねてコンテンツ生成力を引き上げたことであり、一段と『人間味』がついた」と述べている。

LLM関連について、アメリカのシリコンバレーから買収ラッシュが始まっている。今年3月にマイクロソフトが、AIスタートアップ企業「Inflection」からCEOであるMustafa Suleyman氏など幹部陣を招き入れた。また同じくAIスタートアップ「Adept」を立ち上げたShazeer氏とDeFreitas氏が、自社がアマゾンに買収されたのちにグーグルに復帰している。

8月には同じくAIスタートアップの「Character.AI」がグーグルに買収され、創業者のNoam Shazeer氏やDaniel De Freitas氏などがグーグルのDeepMind部門に復帰している。Character.AIは一挙に30人以上がグーグルに「移籍」した模様である。

(中国経済新聞)