「美即」、オンライン販売を終了

2024/10/3 18:30

9月30日、顔用美容パックの「MG」ブランドで知られる中国のスキンケア大手「美即」が、複数の通販サイトで商品の発売を中止した。ミニアプリでもこの日に閉店すると表示され、公式のストアは10月30日に閉店と発表されている。

公開情報によると、美即は2003年にフェイスパックの会社として設立され、2005年の香港系の大手ドラッグストア「ワトソンズ(屈臣氏)」の配下企業となり、2007年にはワトソンズでパック類の販売数がトップに立った。

2010年に香港証券取引所に上場し、2012年には中国で市場シェアが26.4%となり、売上高も10億元(206億円)を超えるなど、過去最高の成績をあげた。2013年にはパックの全売上高のうちワトソンズでの販売分が70%に当たる4.7億元(約96.7億円)に達した。

この2013年、最盛期となっていた美即にフランスの大手化粧品メーカー「ロレアル」が目をつけ、65.38億香港ドル(約1216億円)で完全買収し、一般大衆向け化粧品の担当部門とした。外国企業による中国の日用品会社の買収金額としては当時の最高額であった。美即は2014年に香港上場を廃止し、ロレアルの完全子会社となった。

ところが美即はその後、利益が出なくなり、2016年8月にロレアルから発表された同年上半期の決算報告によると、2.13億ユーロ(約340億円)の評価損を計上している。

ロレアルは決して「救済策」を講じなかったわけではない。2014年には中国現地法人の研究開発センタービルに「美即パック研究センター」を設けてフレッシュマスクを打ち出し、これにより美即は2017年に二桁成長を果たすまでに回復したが、パックの市場シェアは上位6位以内から外れてしまった。

美即は2018年にワトソンズでの販売を中止した。ロレアルはこれについて当時、通販を販売の主力に据えるという事業計画に沿ったものと表明している。2019年上半期には美白ミルクマスクを発売し、中国のEC市場で最大のBtoCプラットフォーム「Tmall」の美白パック部門でTOP1に立った。また2019年12月は、発売直後だったSOSトラブルガーゼパックがTmallの補修系パック部門でTOP2となっている。

美即がオンラインのフラグシップ店を閉鎖したのは、このところの業績不振が理由とも思われる。アプリなどのデータによると、美即は2024年上半期、あるSNSでのGMVは10-25万元(約206万円~514万円)で、化粧品部門で4176位であった。ここ何年かは売上が思わしくなく、2021年-2023年における年間GMVは順に100-250万元(約2056万円~5141万円)、500-750万元(約1.03億円~1.54億円)、250-500万元(約5141万円~1.03億円)となっており、順位もすべて1000位以下だった。大手化粧品ブランドの主力商品は年間GMVが1億元(20億円)以上、あるいは10億元(200億円)を超えようとしている中、美即の実績はどうも芳しくないようである。

(中国経済新聞)