ファーウェイ投資ホールディングスはこのほど、株主に対し配当として約770.95億元(約1.62兆円)を支給すると発表した。通常の利益分けであって、会社の経営や財務、および債務の返済には何ら影響しないとのことである。ファーウェイは現在、従業員の賃金が給与、賞与、配当で成り立っており、持株による配当はかなりの部分を占める。持株会参加者は2023年末現在で15.17万人である。
ファーウェイの配当計画は、意思決定の独自性維持を狙いとし、社員持株制度はこれにかなりのプラスとなる。創業者である任正非CEOの持株率は現状維持の0.73%である。ファーウェイの2023年の業績を見ると、全世界の売上高は前年比9.64%増の7042億元(約14.77兆円)、純利益は同じく145%も増えて870億元(約1.82兆円)に達した。この中で、2年間前年割れが続いた端末事業の売上高は前年比17.3%増となっている。
ファーウェイは、世界的に経営環境が試練を迎えているが、事業を継続し製品の競争力を確保させるべく、より力のあるサプライチェーンを築こうと努力している。地域別の売上高は中国が最も多く全体の67%で、ヨーロッパ・中東・アフリカが計21%、アジア太平洋が6%、アメリカ州が5%である。
また研究開発費については、2023年は売上高の23.4%にあたる1647億元(約3.45兆円)で、過去10年間の累計は1兆1100億(約23.28兆円)以上である。配当金額は例年とほぼ同じで、持株社員に対し1人あたり平均およそ50.7万元(約1063万円)である。
ファーウェイは、ICT(情報通信技術)、端末、クラウドコンピューティング、デジタルエネルギー、スマートカーソリューション、ハイシリコンの6つが主力事業であり、売上高を見るとICTが3620億元(約7.59兆円)、端末が2515億元(約5.27兆円)、クラウドコンピューティングが553億元(約1.16兆円)、デジタルエネルギーが526億元(約1.1兆円)となっている。
ファーウェイのある社員は以前、「今の経営戦略から見て、主力事業や社員へのインセンティブは後退せずむしろ拡大しており、利益を手に入れるよう薦めている。ただし主力以外の事業については縮小する意向を示し、改めて主力事業や儲かる事業に取り組んでいる」と述べている。
また任CEOは先ごろ、社内での演説で、「ここ2年ほど外的な環境が絶えず変化しているが、われわれ(ファーウェイ)は、ICTこそ過去から担ってきた使命であると認識すべきで、苦しい時ほど揺らいではならない」と述べている。
(中国経済新聞)