過去10年間で中国の省内流動人口が8割増加

2022/10/12 23:00

中国国家統計局は10月10日、「人口規模拡大の継続と雇用状況の安定保持:十八大(中国共産党第18回全国代表大会)以降の経済・社会発展の成果に関する一連の報告書」(以下、「報告書」)を発表し、2020年には「人戸分離人口」が4.9276億人に達し、国の人口の34.9%を占め、そのうち流動人口は3.7582億人に達し、国の人口の26.6%を占めている。2010年と比較すると、人戸分離人口は88.5%、流動人口は69.7%増加している。「人戸分離」(Ren Hu Fen Li)とは、中国において現住所と戸籍地が異なる人のことを指す。

現状では、東部沿海部、長江沿岸部、内陸部の都市に人口が集中する傾向が続いており、東部沿海部の人口の総人口に占める割合は2010年から2.1ポイント増加している。また、主要な都市圏への人口集中が進み、粤港澳大湾区都市圏(香港やマカオの2つの特別行政区及び広東省の広州・深セン・珠海・仏山・中山・東莞(Dongguan)・恵州・江門・肇慶(Zhaoqing)の9つの都市で構成された都市圏)、長江デルタ都市圏、成都(成)重慶(渝)都市圏はそれぞれ35.0%、12.0%、7.3%と急速に人口が増加している。

中国社会科学院都市発展・環境研究センターの牛鳳瑞(ニウ・フォンルイ)研究員は、国内の人口分布を見ると、近年の人口移動には大きく分けて2つあり、1つ目は、中部、西北部、東北部から東南沿岸部への人口移動。2つ目は、各省内の中小都市や地方都市から中心都市への人口移動の2つがあると述べた。

この内、省を跨ぐ人口移動については、2020年は1.2483億人で2010年から3896万人も増加している。中でも経済規模第1位の広東省は、10年間で人口は812.43万人増え、他省からの流入人口は3000万人近くに達し、全国でトップとなっている。

浙江省は、他省からの流入人口が広東省に次いで2番目に多い。浙江省統計局が発表したデータによると、2021年末の同省の常住人口は前年末に比べて72万人純増、その内、91%が省外からの純流入であった。第7回国勢調査(人口普査)のデータによると、浙江省では定住者5人に対して流動人口が2人となっている。

人口移動の状況別で見ると、2020年には中国の省内流動人口は2.51億人、省間流動人口は1.25億人となり、2010年からそれぞれ1.15億人、3900万人と増加している。成長率で見ると、省内流動人口の増加率は85.7%と高く、省間流動人口の増加率(45.4%)を大きく上回っている。

その大きな理由として、2008年以降、土地と労働力を合わせたコストが上昇し、沿岸部産業の中西部へのシフトが加速したことから、中西部に隣接した地域で雇用が増え続けている。そのため沿岸部を離れて内陸部へ戻る人も多く、地方の省都や地方中枢都市など、故郷に近い都市を選ぶ人が増えた。

(中国経済新聞)