EVメーカー・零跑汽車、香港で上場へ 「蔚小理」に肩並べる

2022/09/21 17:15

9月20日、中国の新エネ車メーカー「零跑汽車」が、9月29日の香港証券取引所での上場に向けて動き出した。同じく新エネ車メーカーでいずれも香港上場を果たしている蔚来、小鵬、理想(蔚小理)の3社に肩を並べることになる。

取引条項により零跑は約1.31億株を発行予定で、1株当たりの価格は48香港ドル~62香港ドル(880円~1135円)、IPOにより81.1億香港ドル(1484億円)の調達を目指す。

零跑は今回、「蔚小理」3社ような海外の証取との重複上場という形はとらず、中国国内から直接香港でH株を発行する。順調にいけば、新興自動車メーカーとして初めての香港株上場となる。

零跑は、ここ数年の大幅な販売増に支えられて競争から一歩抜け出した。今年7月の電気自動車(EV)納入台数は「蔚小理」を上回る前年比177%増の12044台で、1月~7月までの累計では前年同期比244.8%の増加であった。また8月の納入台数は同じく180%以上の増加となる12525台で、1月~8月の新車納入累計は76563台となっている。

また年間納入台数を見ると、2020年は8050台で2019年より676.3%の増加、2021年は2020年より443.5%伸ばして計43748台であった。さらに売上高も急増しており、目論見書によると2019年~2021年の3年間は順におよそ1.17億元(23.9億円)、6.31億元(129億円)、31.32億元(640億円)の売上となっている。

さらに零跑は、完全自社開発や統合戦略を続けており、研究開発力を備えている。こうした戦略の実施には資金の投入が必要であるが、目論見書によると2019年~2021年の研究開発費は合計で14億元(286億円)にとどまっている。「完全自社開発」という割に投資額が少ないことについて、朱江明社長は取材の際に、「効率的計画に基づいた適正な投資額である。

また、完全自社開発は口先だけでなく実行に移していて、様々な基幹部品を製造している。今年納入した10万台余りの車両は、電池セル、パワートレイン、ライト、パワーシートのコントローラーやセンサーなどがすべて自社製である」と初めて明らかにしている。

ただし零跑は赤字経営が続いており、目論見書によると2019年~2021年の補正後の年間赤字額は順に8.1億元(165億円)、9.35億元(191億円)、26.29億元(537億円)となっている。これについて零跑は、人材の募集や投資開発活動、営業活動などによる支出の増大が理由と思われると発表している。

(中国経済新聞)