中国30省の上半期財政収支を分析 歳入は予想上回るも地方財政の厳しさ続く

2026/08/7 12:00

中国各地で2026年上半期の財政収支が出そろった。8月6日時点で、広東省を除く30省・自治区・直轄市が上半期の財政データを公表しており、多くの地域で一般公共予算収入は前年同期を上回った。一方で、不動産市場の低迷による土地売却収入の落ち込みや地方債務の重い負担を背景に、地方財政は依然として厳しい状況が続いている。

財政収入を見ると、江西省(前年比7.2%増)、遼寧省(同0.6%増)、広西チワン族自治区(同0.6%増)の3地域を除き、すべての地域で増収となった。特にチベット自治区は約37%、新疆ウイグル自治区は10%と、全国平均を大きく上回る高い伸びを記録した。一方、多くの省では増加率が0~3%程度にとどまり、緩やかな回復にとどまっている。

財政規模では、広東省、江蘇省、浙江省、上海市、山東省、北京市、四川省が引き続き全国上位を占めた。広東省は正式なデータを公表していないものの、全国統計から推計すると、上半期の一般公共予算収入は約7,422億元で、前年比約2.8%増とみられる。

中国財政部によると、2026年上半期の地方一般公共予算収入は6兆8,800億元となり、前年同期比2.7%増加した。伸び率は第1四半期より0.6ポイント改善し、31省・自治区・直轄市のうち28地域で増収となった。

税収の改善が歳入を押し上げた背景には、景気の安定推移や物価の回復、株式市場の活況、輸出の堅調な伸びなどがある。例えば江蘇省では税収が3.4%増、浙江省でも3.5%増となり、一般公共予算収入に占める税収の割合も上昇した。専門家は「財政収入の質が改善している」と評価している。

一方、チベット自治区と新疆ウイグル自治区の高い伸びには、それぞれ固有の要因がある。チベット自治区では、中央政府による大型インフラ建設や農牧業、医薬品、クリーンエネルギー産業への支援策に加え、国有資産の有効活用が歳入増加につながった。また、新疆では工業企業の収益改善が税収を押し上げ、今年1~5月の一定規模以上工業企業の利益総額は前年同期比73.5%増となるなど、力強い成長が続いている。

しかし、地方財政全体の課題は依然として大きい。特に不動産市場の低迷が続く中、土地使用権の譲渡収入は前年同期比31.5%減少し、地方政府の重要な財源である政府性基金収入も25.6%減となった。

地方財政担当者からは、「税収は回復しているが、土地売却収入の落ち込みで財政運営は依然厳しい」「債務返済負担が重く、財政の自由度は低い」といった声も上がっている。福建省や安徽省も、予算執行報告の中で「財政収支は依然として均衡が極めて厳しい状態にある」と認め、内需拡大や雇用維持、民生支出などの必要経費が財政を圧迫していると指摘した。

歳出面では、30地域のうち12地域で一般公共予算支出が前年を下回った。歳出が増加した地域でも、多くは3%未満の低い伸びにとどまり、上海市のみが10.7%と比較的高い伸びを示した。全国ベースでも地方一般公共予算支出は前年同期比0.6%増にとどまり、歳入の伸びを下回っている。

専門家は、地方政府が財政規律を強化し、「緊縮財政」の方針の下で不要不急の支出を抑制していることに加え、一部地域では資金繰りに余裕がないことも歳出抑制の要因と分析している。

下半期については、国家重点プロジェクトやインフラ整備計画の本格化に伴い、地方財政支出は徐々に拡大する見通しだ。これにより、景気下支えや民生政策への財政支援も強まると期待されている。

地方財政の持続可能性を巡っては、中央・地方双方の取り組みが不可欠との見方が強い。短期的には中央政府による移転支出の拡充や均衡性移転支出の強化が必要とされる一方、地方政府には国有資産の有効活用や地方融資平台(LGFV)の改革、地域の特色を生かした産業育成による税源強化が求められている。

さらに中長期的には、財政制度改革によって中央と地方の権限・支出責任を見直し、地方政府の負担を軽減するとともに、AI時代に対応した税制改革や環境税・資源税の見直しなど、新たな財政基盤の構築が今後の重要課題になると専門家は指摘している。

(中国経済新聞)