近年、ロボット技術の進化と普及が急速に進んでいる。センサー、AIチップ、バッテリ ーなどのハードウェアの高度化に加え、高性能化が続くAIモデルや制御ソフトウェアの 発展により、ロボットはこれまでのように単一のタスクを繰り返すだけの存在ではなくな った。動的な環境に適応し、状況を判断し、タスクの計画から実行までを自律的にこなす、 このような“学習し成長するロボット”が現実のものとなりつつある。
こうした流れの中で注目を集めているのが、移動性と操作性を兼ね備え、人間に近い形 態を持つヒューマノイドロボット※1である。いわゆる“エンボディドAI”として位置づけら れる次世代ロボットは、より汎用的な作業をこなすことを期待され、未来の産業インフラ を支える基盤技術とみなされている。この新産業をめぐっては、AI技術で先行する米国 と、産業政策の後押しと強力なサプライチェーンを武器とする中国が中心となり、開発競争を加速させている。また、従来型ロボットで強みを持つ日本や欧州も参加することで、
多様な技術革新やユースケース開拓が進む状況にある。現時点では、AIモデルやAIチップを含む技術面で優位な米国と、政策支援と量産能力を背景に市場形成を急ぐ中国が、製品開発と実証において一歩リードしていると言える。
本稿では、こうした国際的な動きの中でも特に中国に焦点を当て、ヒューマノイドロボット産業の取り組みと特徴を整理する。あわせて、米国との比較から見える競争構造を概観し、最後に日本にとっての示唆を簡潔にまとめる。
2. 中国ロボット産業の基盤と次世代ロボットへの展開
世界のロボット市場は、従来の産業用ロボットから、協働ロボット(コボット)、AMR・移動ロボット、ドローン、車輪型ヒューマノイド、さらには手足を備えた本格的なヒューマノイドへと進化してきた(図表1参照)。こうした次世代ロボットの発展は、精密部品・材料などのハードウェア、AIモデルや制御ソフト、そして人材・政策といったロボット基盤の高度化に支えられている。

中国は2000年代半ば以降、「世界の工場」としての地位を確立しつつも、労働集約型産業への依存から脱却し産業高度化を進めるため、「中国製造2025」を柱としたスマート製造戦略を本格化させた。政策支援の後押しもあり、ロボット技術の開発と導入は急速に進展し、2024年には29.5万台の産業用ロボットが国内で導入され、世界全体の約54%を占めるまでに成長した※2。製造業のロボット密度(1万人あたりの導入台数)でも日本・ドイツを上回り、世界有数のロボット導入国となっている。加えて、中国のロボット市場では地場企業の存在感が急拡大している。2019年時点で3割以下だったシェアは、現在では5割を超え、外資系ベンダーを上回る規模に成長した。電気自動車(EV)やリチウム電池産業の発展も相まって、モーター、センサー、ビジョンなどロボットの主要部材の現地生産が加速。結果として、世界で製造されるロボットの約55%が中国で生産される状況となっている。部品の国産化率を見ても、協働ロボットやモバイルロボットなどの分野で現地化が最も進んでおり、ライダー(LiDAR)やバッテリーは90%以上、モーター・コントローラ・力センサー・ビジョンユニット、高周波減速機などは60%前後に達する※3。
一方、RV(Rotary Vector)減速機など一部の精密部品は約40%と依然低いが、国内企業の参入が急速に進んでいる。また、中国各地では深圳、上海、杭州を中心に、ロボット部品(ハードウェア)、AI・VLA モデルなどのソフトウェア開発、ユースケース探索、ロボット本体の生産、ユーザー導入までを一貫して担う産業クラスターが形成されつつある。これにより、中国はロボット分野において「世界最大の市場」であるだけでなく、「イノベーションが日々循環する産業ハブ」へと進化しつつある。
市場の成長性も強い追い風となっている。Morgan Stanley※4は2024年時点で中国のロボット市場規模を470億ドル(世界の約40%)と推計し、2028年には年平均成長率(CAGR)23%で1,080億ドルへ拡大すると予測している。この旺盛な需要が、新しいロボットの実証、量産、コストダウンを加速させ、次世代ロボット開発のエコシステムをさらに強化していると考えられる。さらにMorgan Stanleyは、中国における商用ヒューマノイドの販売台数について、2025年に約7,000台、2030年に11万4,000台、2040年には2,200万台、そして2050年には5,100万台へと急拡大すると予測している。商用・家庭用を合わせた保有台数では、2030年に25万2,000台、2040年に6,100万台、2050年には3億200 万台に達すると見込まれ、2050年時点で中国が世界のヒューマノイド在庫の約30%を占めると推計されている。
総じて、中国のロボット産業は、政策の強力な支援、市場の急拡大、部品からAIソフトまでを含む産業クラスターの形成という三つの基盤が整いつつあり、次世代ロボット産業を推進するための土台が急速に固まっていると言える。
3. 中国のヒューマノイド企業の戦略展開
中国のヒューマノイドロボット企業は、スタートアップから大企業、政府主導機関まで多層的なエコシステムを形成している。ロボット本体メーカーとしては、UBTECH(優必選)、UNITREE(宇樹科技)、AGIBOT(智元ロボット)といった新興企業に加え、MIDEA(美的)、XPENG(小鵬汽車)、小米、DOBOT(越疆科技)など製造業大手も参入している。さらにアリババ、テンセント、百度、華為といったテック企業、そして中央・地方政16 社、北米11社、その他14社)、パイロット・初期商用段階は7社(中国3社、米国4社)であり、中国と米国が開発と商業化の双方で先行していることが分かる。ヒューマノイドという新興産業領域で、米中企業間の競争が急速に激化しているともいえる。
中国では、企業の意思決定スピード、サプライチェーン主導の実装力、政策支援によるスケールアップが相まって、2024 年だけで 35 種類以上の新型モデルが市場に投入された。他国と比較して製品化の速度が圧倒的に速い点が特徴である。

(出所) IFR(July 2025) “Humanoid Robots: Vision and Reality”のデータを基に著者作成
以下では、中国で実際に開発・量産・販売に進む新興企業 Top3社の事例を紹介する。
UBTECH(優必選)
UBTECH(優必選)※7は、AI・制御ソフトウェアと自社開発ハードウェアを統合するフルスタック型のヒューマノイドロボット企業である。独自フレームワークROSAを軸にマルチモーダル認識、自律移動(SLAM)、 LLM連携によるタスク計画・実行を統合し、意思理解から行動までの高度な自律化を目指している。
ハード面では、アクチュエータの内製化、高剛性・軽量構造設計、50を超える自由度を持つ関節構成、バッテリー自動交換システムなど、量産性と実用性を両立する設計思想を確立している。2,400件超の特許ポートフォリオと垂直統合体制を背景に、産業用途への展開で先行している。実際に EV 工場への導入実績を持ち、大口の受注も獲得しており、中国勢の中で最も産業実装に近い位置付けにある。一方で、構造の複雑さによるコスト上昇や長期信頼性・安全性の実証不足など、スケール展開に向けた課題は残る。
UNITREE(宇樹科技)
UNITREE(宇樹科技)※8は、2016年に王興興氏が設立したロボティクス企業で、四足歩行ロボットでの成功を起点に、ヒューマノイド、ロボットアームまでを手がけるフルスタック型メーカーである。ヒューマノイドは産業向け「H1」、研究・教育向け「G1」、低価格帯「R1」を展開し、2025年には車輪走行型「G1-D」を公開。2024年のヒューマノイド販売は1,500台に達し、売上の約3割を占めた。浙江省(杭州市)の支援下で新工場も稼働しており、量産体制の強化が進んでいる。技術面では、モーター・減速機・ドライバ・センサー・制御基板などの自社開発率が90%超と極めて高く、低コストでの量産と高い価格競争力を確保している。ソフト面では、独自開発の AI 基盤 UnifoLM(Unitree Robot Unified Large Model)により強化学習を活用し、動作の汎用性を拡張※9。さらにUniTracker による全身モーション学習で、人間的で滑らかな動作も実現している。
一方、UNITREE はスピードと価格競争力に強みを持つ反面、安全機能・耐久性・ペイロード能力は限定的で、現状は研究・教育・コンパニオン・エンターテインメント用途が中心である。R1に搭載されるマルチモーダルLLM※10については、自社開発か外部提携か不透明であり、知能面のフルスタック化は発展途上といえる。
AGIBOT(智元ロボット)
AGIBOT※11は、2023 年 2 月設立の新興ヒューマノイドロボット企業である。同社は、人間との自然な相互作用と高度な意思決定を重視したAI駆動型システムを特徴とする。 中核技術である「Embodied Intelligent Brain」は自社開発で、クラウドスーパーブレイン、メインブレイン、サブブレイン、ブレインステムを含む。また、自社開発のマルチモーダル大規模モデルWorkGPTと統合し、ロボットがユーザーの意図を理解し、環境を認識してタスクを自律的に調整できる能力を持つ。主な製品には下記のものがある。
⚫ AGIBOT A2:フロントデスク、スーパーマーケット案内、顧客対応などを想定した対話型サー
ビスロボット。人間工学に基づく設計、人型骨格とモジュール構造により外観をカスタマイズ可能で、商業用途と未来的デザインを両立。
⚫ AGIBOT RAISE A1:高度AI認知システムを搭載した汎用ヒューマノイドロボット。Embodied Intelligent Brain を実装し、教育・研究・サービス用途に適応。
2025 年11月には、車輪付きヒューマノイドG2を寧波の均普智能との協業で製造業向けに発表。生産能力は現段階で年間3,000台に達する。2025年初頭までに、AGIBOTはすでに1,000 台の汎用ヒューマノイドを生産しており、外部生産能力の活用拡大を含め、急速な市場拡大が見込まれる。
中国トップ新興企業の戦略展開(まとめ)
中国のヒューマノイド新興企業は、UBTECH、UNITREE、AGIBOTを中心に、急速な市場拡大と多様なモデル投入で注目される。UBTECH はフルスタック開発と量産力を活かし、産業用途向け商用ヒューマノイドを展開している。UNITREE は高い自社開発率と低コスト量産力を武器に、研究・教育・サービス用途で複数モデルを投入し、市場浸透を加速している。AGIBOT は高度 AI 駆動型システムと自社開発のマルチモーダル大規模モデルを統合し、汎用ヒューマノイドや車輪付きモデルで生産規模を拡大している。
これら3社は、自社技術と量産体制を軸に短期間で多様なモデルを市場投入し、商業化の初期段階で優位性を確立しつつある。しかし、現場での性能維持、安全性確保、自律性・汎用性、ROI評価など、不確実性や潜在課題も残されており、実証による信頼性確認が不可欠である。米国企業はリーンスタートアップ文化に基づき、MVP による反復試験・学習・改善を重視して段階的に商業化しており、中国企業もこの文化を研究・参考にしつつ、スピード優位と課題克服のバランスを追求している点が重要な示唆となる。
4. 米国のヒューマノイドアプローチと企業の戦略構造
国際ロボット連盟によれば、米国には軍事・安全保障領域でのロボット需要が大きく、DARPA や国防総省による継続的な資金投入が進んでいる。しかし、これらの研究開発はプロジェクトごとに独立性が高く、民生向けの商業化とは必ずしも連動していない※12。一方、中国のように政府主導の産業政策は存在しない※13が、NVIDIA、Tesla、Amazonなどの大手テック企業やVC(Venture Capital)が積極投資を行い、ヒューマノイド分野の技術革新は民間主導で進む構造となっている。
McKinsey は、米国企業が「アクチュエータ、制御システム、AIスタックを自社で設計し、サプライヤー依存を最小化する垂直統合型アーキテクチャ」を重視している点を指摘する※14。これは、性能・安全性の一体最適化や知的財産(IP)の保全、差別化された独自技術の確立を目的とした戦略であり、米国企業の強い競争優位の源泉となっている。
このように、中国企業がオープンイノベーション型の迅速なモデル投入で市場浸透と学習速度を高めているのに対し、米国企業は安全性・規格適合・運用信頼性・IP保護を重視した段階的商業化を選好している。両者は、開発哲学・サプライチェーン構造・商業化速度という点で対照的なアプローチを取っていると言える。
ここからは、米国のヒューマノイドTop4のアプローチを検証する。
Boston Dynamics
Boston Dynamics は 1992 年創業の米国ロボティクス企業で、Atlas(2 足歩行)や Spot(4 足歩行)に代表される高度モビリティロボットで世界的知名度を持つ。バランス制御、ダイナミクス、荒れた環境での歩行・操作など、ロボット運動制御の深い技術蓄積が最大の強みである。2020 年以降は韓国・現代自動車グループ傘下となり、産業向け実装と商業化へのシフトを本格化している。AI 統合では、2024 年に Toyota Research Institute との協業を発表し、汎用ヒューマノイドに向けた「大規模行動モデル( Large Behavior Models)」の共同開発を開始※15。2025年にはRobotics & AI Institute と連携し、強化学習を活用した動的モバイル操作の研究にも着手するなど、従来の制御技術に学習ベース手法を組み合わせた次世代アプローチを進めている※16。
優位性は、運動能力・信頼性・耐久性の高さにあり、依然として研究開発分野のトップランナーである。一方、量産コストや産業用途での導入規模はまだ限定的で、「汎用ロボットの実用化」には引き続き課題が残る。
Tesla
Tesla は、電気自動車で培った AI・制御・製造の統合能力をロボティクスへ拡張し、汎用ヒューマノイド「Optimus」を中核事業の一つとして位置付けている。
視覚認識・制御・AI学習インフラ(Dojo)を自社で垂直統合し、ロボット向けに最適化したカスタムアクチュエータや、車両 AI を応用した大量データ学習を進めている点が特徴である※17。最新プロトタイプでは、Dojoで処理した視覚入力を用い、AIモデルを継続学習させる仕組みを導入。車両プログラムで蓄積したソフトウェア資産をロボットにも転用し、スケール効率を最大化している。ビジネス面では、量産前提の設計・低コスト化・大規模展開を明確に志向しており、巨大製造インフラとデータ活用基盤が大きな強みとなる。一方、Optimusの性能成熟度や安全性の検証、安定した実運用には課題が残り、「期待先行」との指摘もある※18。今後は、量産体制の確立と実用事例の創出が成否を左右するフェーズに入っている。
Figure AI
Figure AI は 2022 年創業の新興ロボティクス企業で、汎用ヒューマノイド(Figure 03など)の量産と商用化を最速で進めるスタートアップである。2025 年には大規模生産施設「BotQ」を稼働させ、年間1万台規模の製造能力を見据えるなど、早期のスケール化を明確に打ち出している※19。技術面では、AIを用いた認識・判断・操作、自律制御、精密なハンドリング、環境適応性を統合した「学習ベースの汎用ロボティクス」を追求。
2024 年にはBMWのスパルタンバーグ工場でFigure 02を導入し、自動車工場ラインでヒューマノイドを運用する初の大規模実証を開始。その後も複数大手企業との商業契約が報じられ、市場での実用化フェーズに急速に移行している※20。強みは、潤沢な資金調達、開発スピード、量産を前提とした製造体制、多用途展開の柔軟性にある。一方で、汎用性・安全性・運用コスト・長期信頼性など、実運用での課題は残り、投資負荷と技術リスクが並走する状況にある。
Agility Robotics
Agility Robotics は 2015 年米国設立の企業で、二足歩行ロボット「Digit」を軸に物流・倉庫・搬送用途での実用化を進めている。人間環境に適応した脚付きフォーマットと、荷物運搬・階段昇降・不整地移動など多様な物理作業に対応可能なモビリティが特徴で、倉庫などでの実証テストと量産拠点整備を同時に進めている。ハードウェアの一部は外部委託しているが、システム統合と制御ソフトウェア、データループは社内で管理※21。AmazonやGXOとの共同実験では、独自の「Agility Arcオーケストレーションプラットフォーム」を活用し、産業現場での安定運用を実現している※22。
優位性は実運用実績と産業用途への適応力にあり、実務向けロボットとして即戦力性が高い。一方で、汎用ヒューマノイドとしての柔軟性・多用途性、安全性・人との協調能力は限定的であり、「人と同等の多用途ロボット」への到達は今後の課題である。
ここまでみてきたように、米国トップ4社の共通点は、垂直統合によるAI・制御・ハード設計の自社開発と、民間主導での技術革新。Boston Dynamics は運動能力・耐久性、Tesla は量産志向とAI統合、Figure AIは量産体制と汎用化志向、Agilityは実用性重視の特定用途型。米国企業は安全性・IP保護・段階的商業化を重視し、中国の急速投入型とは対照的な戦略を採用している。
表2は上記で解説してきた米中トップ7社の特徴・優位性及び戦略・商業化アプローチを纏めたものである。


グローバルヒューマノイド市場における主要インサイト・示唆(米中7社の比較より)
(1)開発哲学の違いが競争優位に直結
⚫ 中国企業は幅広いサプライヤー活用、短期実証、低価格量産によるスピード優位を重視UBTECHやUNITREEは多用途モデルの同時投入で市場シェア拡大を狙う。
⚫ 米国企業は垂直統合・自社AI/制御/ハード設計を重視し、性能、安全性、知財保護に
フォーカス。TeslaやBoston Dynamicsは段階的商業化でリスク管理を行う。
(2)学習ベース制御・AI統合が次世代ヒューマノイドのカギ
⚫ 中国ではAGIBOT のマルチモーダルLLM、UBTECHやUNITREE の強化学習基盤など、学習型AIの活用で汎用性・自律性を強化。
⚫ 米国もFigure AIの学習ベース制御、Boston Dynamicsの強化学習、大規模行動モデ
ルで汎用動作を模索。グローバル共通の競争軸はAI統合能力。
(3)市場投入スピード vs 安全・知財・実用性のトレードオフ
⚫ 中国は「早期投入 × 高頻度モデル更新」で市場反応を学習するリーン型戦略。
⚫ 米国は「段階的投入 × 垂直統合」で高信頼性・安全性を確保。
5. 終わりに:日本にとっての示唆
日本は長年、欧州と並び産業ロボットの中心的存在であり、FA(ファナック・安川)を軸に、モーター・減速機・制御などの強固な産業基盤を築いてきた。自動車・電子産業など導入側の成熟もあり、製造領域では世界的な競争力を維持している。一方、AIを搭載した自律型・汎用ロボット、特にヒューマノイドの領域では米中に比べて出遅れが見られ、エンボディドAIや新しいサプライチェーン形成が遅れている点が課題となっている。
近年、日本でも産業構造変化・人手不足・AI進展を背景に、次世代ロボットへの本格的な転換が始まった。政府は「ロボティクス向け生成AI基盤モデル」やデータプラットフォーム整備に予算を投じ、産業技術総合研究(AIST)や国立研究開発法人(NEDO)が基盤モデルとデータセットの構築を主導している※23。企業側でも、ソフトバンクのABBロボット事業買収、富士通・安川電機のNVIDIAとの協業など、大企業を中心とした動きが広がっている。しかし、現状、日本では政府・大企業主導の動きが中心で、米中に比べスタートアップ・技術実証の勢いが弱い。米中の7社比較からも明らかなように、ヒューマノイド領域では「スタートアップ × 学習ベース制御 × 商業化スピード」が技術進化の源泉となっている。
日本への示唆としては、下記の点が鍵となる。
① 産業力・安全性・知財保護を守りつつ、開発スピードを高めるハイブリッド戦略、
② オープンイノベーションとスタートアップ支援の強化、
③ データ基盤の統合と実証環境の開放
日本が持つ精密工学・安全設計・ロボット実装力と、AI時代に必要なスピード・柔軟性を
両立できれば、ヒューマノイド分野でも再び世界をリードする可能性は大きい。
※1 ヒューマノイドロボットは、人間のような美的外観(通常は2本の腕と手、2本の脚、胴体、頭)を持ち、人 間向けに設計された環境で、環境に適応する必要なくタスクを実行できるロボットである。実際は2本の 足を代わりに車輪付きロボットをも含む。
※2 IFR(25 September 2025) “World Robotics 2025” https://ifr.org/downloads/press_docs/PressConference2025_presentation.pdf
※3 Humanoid Robot Summit(June 16, 2025) “Morgan Stanley: China’s Emerging Frontiers: Robotics Unleashed, the Arrival of a New Era” https://acgrobot.com/the-scale-of-chinas-robotics-industry-has doubled-in-four-years-and-a-trillion-yuan-wave-is-fully-emerging/
※4 注3を参照
※5 IFR (July 2025) “Humanoid Robots: Vision and Reality” https://ifr.org/ifr-press-releases/news/humanoid-robots-vision-and-reality-paper-published-by-ifr
※6 McKinsey (October 15, 2025) “Humanoid robots: Crossing the chasm from concept to commercial reality” https://www.mckinsey.com/industries/industrials-and-electronics/our-insights/humanoid-robots crossing-the-chasm-from-concept-to-commercial-reality
※7 UBTECH https://www.ubtrobot.com/en/about/company-profile Arendse Huld(April 7, 2025) “Investing in the Future: Opportunities in China’s Humanoid Robotics and Embodied AI Industry” https://www.china-briefing.com/news/chinese-humanoid-robot-market-opportunities/
※8 Unitree Robotics https://www.unitree.com/about
※9 百态老人(2025年5月28日) “UnifoLM(Unitree Robot Unified Large Model)技术架构解析” https://www.sohu.com/a/899241501_121475950#:~:text=UnifoLM%EF%BC%88Unitree%20Robot%20Unified%20Large%20Model%EF%BC%89%E6%8A%80%E6%9C%AF%E6%9E%B6%E6%9E%84%E8%A7% A3%E6%9E%90
※10 Reuters(July 25, 2025) “China’s Unitree prices new humanoid robot at deep discount to 2024 model“ https://www.reuters.com/technology/chinas-unitree-prices-new-humanoid-robot-deep-discount 2024-model-2025-07-25/
※11 Arendse Huld(April 7, 2025)を参照
※12 IFR (July 2025) “Humanoid Robots: Vision and Reality”; Nathaniel Stone(Sep 5, 2025)“Why Chinese
Robotics Firms Like UBtech Are Outpacing Western Competitors in the Humanoid Robotics Race” https://www.ainvest.com/news/chinese-robotics-firms-ubtech-outpacing-western-competitors humanoid-robotics-race-2509/ ※13 米国の自動化推進協会(A3:The Association for Advancing Automation)は「米国国家ロボット戦略の ビジョン」を発表した。主要政策や組織設置などを盛り込んだ提言書を米議会に提出した。 A3(March 26, 2025) “A3 Releases Vision for a U.S. National Robotics Strategy” https://www.automate.org/robotics/news/a3-releases-vision-for-a-u-s-national-robotics-strategy
※14 McKinsey (October 15, 2025)を参照
※15 Boston Dynamics Press Release(October 16, 2024)“Boston Dynamics & Toyota Research Institute Announce Partnership to Advance Robotics Research” https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-toyota-research-institute-announce-partnership to-advance-robotics-research/?utm_source=chatgpt.com
※16 Brian Heater(February 5, 2025)“Boston Dynamics joins forces with its former CEO to speed the learning of its Atlas humanoid robot” https://techcrunch.com/2025/02/05/boston-dynamics-joins forces-with-its-former-ceo-to-speed-the-learning-of-its-atlas-humanoid-robot/
※17 McKinsey (October 15, 2025)を参照 ※18 Nathaniel Stone(Sep 5, 2025)を参照 ※19 Figure(March 15, 2025) “BotQ: A High-Volume Manufacturing Facility for Humanoid Robots” https://www.figure.ai/news/botq ※20 BMW(November 9, 2024)“Humanoid Robots for BMW Group Plant Spartanburg” https://www.bmwgroup.com/en/news/general/2024/humanoid-robots.html
作者:富士通株式会社 チーフデジタルエコノミスト Ph.D 金 堅敏

出典:CHINA BUSINESS QUARTERLY | みずほ銀行
(中国経済新聞)
