中国・海南省で建設が進む海南自由貿易港において、観光客の受け入れを一層拡大するための新たな施策が動き出した。9月5日、「海南自由貿易港観光条例(草案)」が公表され、一般からの意見募集が始まった。草案には、より大きな範囲での観光ビザ免除制度の導入が盛り込まれている。
草案によると、国務院の特別承認を受けた国の国民は、ビザを取得することなく海南自由貿易港の対外開放口岸から入境でき、一定期間内で観光を楽しむことが可能となる。また、海南省内で既に実施されている「経由旅客に対するビザ免除制度」の対象都市口岸からも、条件を満たす外国人が入境できる仕組みが導入される見通しだ。
さらに、中国と国交を結んでいる国の市民については、香港やマカオに入境後、合法的に登録された現地旅行会社が手配するツアーに参加することで、海南自由貿易港の口岸からビザなしで入境できるとされている。これにより、香港・マカオ経由で海南を訪れる観光需要の拡大が期待される。
加えて、外国人観光団体がクルーズ船を利用して海南自由貿易港のクルーズ口岸に入境する場合にも、ビザ免除の対象とする方針が示された。
今回の制度案は、海南自由貿易港の国際観光拠点化を加速させる重要な一歩と位置づけられている。近年、海南は「国際観光島」を掲げ、航空路線や郵輪観光の拡大など多角的な施策を展開してきた。今回の免签(ビザ免除)範囲の拡大は、より多くの外国人旅行者を引き寄せ、観光産業の競争力強化につながるとみられている。
(中国経済新聞)