2025年8月31日までに、深セン証券取引所に上場する2,873社が2025年上半期決算を開示した。全体の約8割が黒字を確保し、半数以上が純利益の増加を実現した。
注目されるのは、株主還元の拡大だ。深セン市場では配当意識が年々高まり、現金による投資家への還元が「新常態」となりつつある。2025年上半期は386社が上半期配当を発表し、前年同期比18.04%増の886.07億元(約18兆6,000億円)を株主に還元。金額ベースでは49.51%の大幅増加となった。さらに、自社株買いも積極化しており、同期間に230件の買い戻し計画が公表され、上限額合計は682.07億元(約1兆4147.29億円)に達した。
深セン市場全体では、上半期の売上高が10.24兆元(約2,150兆円)で前年同期比3.64%増、純利益は5,954.56億元(約12兆5,000億円)で8.88%増となった。特に2割超の企業が純利益を50%以上伸ばしている。

メインボードの1,489社は、売上高8.19兆元、平均売上高54.99億元を計上し、過半数の企業が増収を実現。純利益が増加したのは822社で、92社は赤字から黒字へ転換した。牧原股份は純利益が1,169.77%増、浪潮信息は売上高90%増と、業績改善が顕著な企業も目立つ。
さらに、時価総額1,000億元を超える55社は合計売上高2.81兆元(前年比10.69%増)、純利益3,060.91億元(同18.28%増)を計上。比亜迪(BYD)、美的集団、寧徳時代(CATL)といった大手は売上高1,000億元超、純利益100億元超を確保し、依然として市場を牽引している。
産業別に見ると、新質生産力を代表する電子、電力設備、コンピュータ、通信、自動車などの分野が好調だった。
電力設備業界では、215社合計の営業収益が8,384億4,800万元(前年同期比8.51%増)、純利益は569億100万元(同17.62%増)となった。海外売上高は2,220億3,500万元で、15.85%増と堅調に拡大している。
コンピュータ業界は、222社合計で営業収益5,012億4,700万元(13.74%増)、純利益122億8,500万元(26.00%増)。特に利益面で高い伸びを見せた。
通信業界は、83社合計の営業収益が1,938億2,500万元(14.19%増)、純利益185億3,200万元(24.08%増)。海外売上高は643億3,900万元で32.59%増と大幅な伸びを記録し、出海(海外展開)競争力の強化が鮮明になった。
自動車業界では、151社合計の営業収益が9,044億7,000万元(8.45%増)、純利益392億2,700万元(1.93%増)。海外売上高は2,754億200万元(17.83%増)。中でも比亜迪(BYD)は、営業収益3,712億8,100万元(23.3%増)、純利益155億1,100万元(13.79%増)と業界トップの収益を確保。海外売上高は1,353億5,800万元に達し、全体の36.46%を占めるなど、海外市場での存在感を一段と高めた。
家電業界は、61社合計の営業収益が5,492億3,800万元(7.38%増)、純利益518億500万元(13.90%増)。海外売上高は1,989億1,600万元(13.76%増)。消費市場の回復を背景に、業界全体の第2四半期純利益は前期比で14.35%増と安定した成長を維持した。
農林牧漁業界では、66社合計の営業収益が5,144億2,000万元(9.12%増)、純利益230億5,600万元と前年同期比で199.79%増の急伸を記録。海外売上高は341億4,100万元(6.23%増)となった。
深セン市場では、株主還元の強化と企業業績の安定成長が相乗効果を生んでいる。中間配当や自社株買いといった「真金白銀」の姿勢は、投資家の信頼を高め、市場全体の安定性を支える役割を果たしている。
今後も、技術革新を先導する企業群と生活必需関連産業が並行して成長し、深セン市場の存在感をさらに高めていくとみられる。
(中国経済新聞)