中国において企業の人件費負担が依然として重くのしかかっている。第三者の社会保険サービス機関「51社保」を運営する衆合雲科が8月29日に発表した『中国企業社保白書2025』によると、61.7%の企業が人件費の総コスト比率30%以上と回答した。社会保険の基数を完全に遵守している企業は34.1%で、前年より5.7ポイント上昇した。
今回の白書は13年連続で発行されており、「保険種のカバー範囲、加入のタイムリー性、基数の遵守性」を軸に中国企業の社会保険コンプライアンスを分析している。2025年版の調査対象は22省、5自治区、4直轄市にまたがる306都市・6689社。そのうち民営企業が69.5%、国有企業が14.8%を占め、また従業員300人以上の企業が40.9%となった。
白書のデータによると、2016年以降、社会保険基数の完全遵守率はおおむね上昇傾向を示してきた。2016年から2018年にかけては25.1%、24.1%、27%。2019年に社保徴収機能が税務当局に移管されると29.9%に上昇し、2020年には31%でピークを迎えた。その後、コロナ禍の影響で低下し、2021~2024年は29.9%、28.4%、28.9%、28.4%と横ばいに推移していた。今回の34.1%という数字は、再び改善傾向にあることを示している。
もっとも、依然として多くの企業が完全遵守には至っていない。規定では、使用者は従業員の前年平均賃金を基数として社会保険料を納める必要がある。しかし実態としては、22.7%の企業が下限(前年平均賃金の60%)で統一的に納付し、24.6%は「固定給のみで賞与を含まない」形で算定していることが明らかになった。
(中国経済新聞)