夏休みの中国、史跡巡りが人気 映画「南京写真館」の撮影地は検索数が80%増

2025/08/7 08:53

中国では夏休みの旅行シーズンは例年、史跡巡りのシーズンともなる。トリップドットコム、同程(LY.com)、途牛(Tuniu.com)、去哪儿(Qunar)などの旅行サイトによると、7月下旬から史跡巡りの目的地や観光コースの検索数が急速に増えている。

今年は、夏休み枠として公開された映画の「南京写真館」が人気を集めてブームに火をつけ、主な撮影地である上海映画村(上海影視楽園=車墩影視基地)はLY.comで検索数が前月より80%以上増えた。

各地の史跡はこの夏も家族旅行や見学ツアーでにぎわっている。LY.comによると、史跡巡りをする人の数は地域別に多い順で、北京市、陝西省、江西省、山西省、上海市、貴州省、湖南省、河北省、福建省、広西チワン自治区となっている。

Tuniu.comの最新予約データによると、夏休みに入ってから史跡巡りプランの予約が急速に増えている。旅行者は「若年化」や「ファミリー化」が目立ち、1980年代~90年代生まれの子連れ世代が特に多い。人気の目的地の上位10か所は北京、南京、広州、長沙、遵義、韶山、宜昌、井岡山、南昌、延安となっている。

またLY.comによると、7月下旬から抗日戦争に関連した記念館や遺跡への注目度が高まり、これに伴い近くの観光地を訪れる人も増えている。同社の検索データやツアー予約データによると、特に客足が伸びているのは旧日本軍南京大虐殺の犠牲者記念館、瀋陽の「九·一八」歴史博物館、中国人民抗日戦争記念館、百団大戦記念館、台児荘大戦遺址などである。

LY.comの旅行・レジャー事業担当者によると、この夏は抗日戦争をテーマにした見学ツアーなどが例年になく盛り上がっており、特に映画「南京写真館」の公開により一段と人気が高まっている。また8月には、同じく抗日戦争映画である「東極島」「山河為証」などが相次ぎ封切りされ、こうした史跡巡りをする人がさらに増えそうである。

また、人気映画の撮影地も若者たちの「人気スポット」になっている。LY.comによると、「南京写真館」の撮影の中心場所であった上海映画村は、7月の検索数が前月より80%も増えた。映画の公開とともに、撮影地での映画鑑賞で戦争の歴史をじっくり感じるというツアーが打ち出され、多くの若者たちが足を運んでいる。こうした中、IMAXは最近、映画村の見学と「南京写真館」での映画鑑賞を合わせたイベントを実行している。

この夏は、ビザ免除措置などの実施もあって外国人の宿泊客数が増えている。錦江ホテル(中国エリア)は、中国全土における7月1日~7月29日の利用者数は去年より約28%増えてのべ4050万人以上であった。この中でもインバウンドが大変活況であり、訪問者を国・地域別に見ると190以上に及ぶなど広範囲で、人数の上位5か国はロシア、韓国、マレーシア、イタリア、アメリカとなっている。また外国人観光客に人気のある都市のTOP10は上海、北京、広州、福州、深セン、重慶、西安、武漢、成都、仏山であり、中でも上海は長らく「入国者数最多」の座を維持している。

(中国経済新聞)