7月30日、ロシア連邦技術規制・計量庁(Rosstandart)は、中国の大手トラックブランドである東風、福田、一汽解放、重汽汕徳卡の一部車種について、ロシア国内での輸入および販売を禁止すると発表した。
今回の禁止措置の対象となったのは、東風「DFH4180」、福田「BJ4189」および「M4L」シャーシ、一汽解放「CA4250」「CA4180」、汕徳卡「ZZHS」など複数のモデルである。
Rosstandartによると、これらの車両はブレーキ性能、騒音レベル、車両検査や緊急通報設備の設置基準など、安全と健康を守るためのロシアの強制規格に違反していることが確認されたという。同庁は各メーカーのロシア現地法人に通知を出し、問題改善のためのリコール実施を求めている。
ロシアの自動車市場調査機関「Avtostat」の統計によれば、今年上半期のロシア市場での中国製トラック販売台数は汕徳卡が約4000台(市場シェア14.2%)、一汽解放が約2000台(同7.1%)、東風が1200台(同4.4%)、福田が531台(同1.9%)となっている。これら中国ブランドの合計販売台数は7700台で、市場シェアの27.6%を占めている。
さらに同期間にロシアが輸入した新型トラック3559台のうち、実に90%以上が中国製で、汕徳卡は20.6%で首位、一汽が17.5%、三一重工が17.4%でそれに続いている。
実は、今年2月にもRosstandartは、汕徳卡の別モデル「SX3258」に対して型式承認を一時停止し、騒音制限や衝突安全性の基準違反を理由に販売停止とリコールを求めていた。
こうした動きに対してロシア工業貿易省のアリハノフ大臣は、「中国の一部トラックブランドには深刻な欠陥があり、公道を走らせることは到底許可できない」と厳しい姿勢を示している。さらに、中国製車両に対するより厳格な認証検査を実施し、状況によっては認証の取消も辞さない方針だと明言している。
中国製トラックのロシア市場でのシェア急拡大を受け、ロシア政府は国内産業保護のために回収税(リサイクル費用の徴収)の大幅引き上げも進めている。2024年10月より回収税は70%~85%増加し、2030年まで毎年10%~20%ずつ引き上げられる。
加えて、2024年4月以降は中アジア経由でロシアに輸入される車両についても、関税・付加価値税・消費税などの追加徴収を義務付ける規制変更を実施している。
こうした一連の措置は、ロシアが中国ブランドの市場独占を抑制し、国内自動車産業の保護と再構築を目指す姿勢を鮮明に示すものとなっている。
(中国経済新聞)