通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が4月7日、中国自動車大手の東風汽車集団と提携し、新たな自動車ブランドを立ち上げる計画であることが明らかになった。両社はすでに事業運営会社を設立しており、そのビジネスモデルは、以前ファーウェイが広州汽車集団(広汽)と立ち上げた「華望汽車」のケースに類似している。
今回の提携において中核を担うのが、「東風乗用車科技(成都)有限公司」である。同社は2025年4月3日に設立され、登録資本金は1億元。現在の株主は東風汽車集団股份有限公司であり、事実上、東風グループの傘下企業だ。

一方、ファーウェイ側でこの提携を主導するのは「智能汽車解決方案業務単元」、通称「車BU(Business Unit)」である。ファーウェイの車載事業には2つの主要な協業モデルが存在する。一つは「HI(Huawei Inside)モデル」、もう一つは「鴻蒙智行モデル」である。
HIモデルでは、車両の製品定義や開発の主導権は自動車メーカー側にあるものの、ファーウェイが提供するフルスタックのスマートカーソリューション(自動運転ソフトウェア、スマートコックピット、車載制御システムなど)を搭載し、両社で収益の分配についても合意する形だ。

対照的に、鴻蒙智行モデルでは、ファーウェイが製品定義から開発、品質管理、販売に至るまで全面的に主導権を握る。このモデルにおいて、ファーウェイはほぼ「自社ブランド車」を展開するような立ち位置となる。
広汽集団との協業では、すでに「華望汽車技術(広州)有限公司」が設立され、新ブランド車両にはファーウェイの自動運転ソフト、スマートコックピット、車両制御ソリューションなどが搭載される予定だ。広汽側は、華望汽車を通じて、ファーウェイの各種運営体系に準拠した新しい商品開発・マーケティング・サービスプロセスを構築することを明らかにしている。
今回の東風汽車との協業が、HIモデルを採用するのか、あるいは鴻蒙智行モデルへと発展するのかは明言されていないが、両社の関係性や車BUが主体であることから、HIモデルを基本とする可能性が高いとみられている。
中国のEV市場およびスマートカー市場は急速に拡大しており、伝統的な自動車メーカーとテック企業の垣根を超えた協業が新たな常態となっている。今回のファーウェイと東風汽車の提携も、両社の技術力と市場影響力を掛け合わせた形での競争力強化を狙ったものだ。
今後、具体的なブランド名や第一弾モデルの発表が注目される中、中国国内のスマートカー市場における勢力図にも変化が生じる可能性がある。
(中国経済新聞)