ニューヨークを初め世界で大人気のミルクレープ専門店「Lady M」はこのほど、直営店方式により中国本土での営業を再開すると発表した。すでに上海の港匯恒隆広場で新店舗がオープンしている。以前「行列神話」を作ったブランドが復活とのことで、注目を集めている。
Lady Mは2017年に中国に進出し、大規模な投資で工場3か所および全土で数十店舗、さらにオンラインでの販売網を築き上げ、上海の国金センターにあった1号店は一時期、買い物客が6時間待ちという盛況であった。ところが2022年9月、中国事業を撤退すると発表し、全店舗を閉店した。中国でLady Mの商品販売を一手に引き受けていた上海牧薪餐飲管理は当時、「委託元の要望に応じた決断だ」と話していた。関係者の間では、両者が経営理念の対立や収益の配分問題で物別れして撤退に至ったものとも見られている。
データによると、ベーカリー食品は1回当たりの購入金額がおおむね20 – 40 元(約400円~800円)となっている。人気の菓子店は値段も高めであり、SNSにより影響力も拡げているが、何度も買いに来ることは少なくて一時的な人気で終わることが多く、ネットで人気の高級店はなおさらその傾向が強い。
中国ではこれまでも、高級とされる洋菓子ブランドが相次ぎ撤退している。初代のインフルエンサー人気ブランドで、「日本で一押しのスイーツブランド」「北海道で超人気のスイーツ店」「手土産必須品」とも言われたLeTAOは、5年前に上海の新天地に1号店を設け、高級店ながら買い物客が列をなしていた。しかし今はもう上海に店がない。またフランスの極上菓子と言われたLENÔTRE (ルノートル)は、2022 年 8 月にコロナ禍で上海から撤退したのに続き、最近深センの万象天地店も閉鎖してしまった。
ベーカリー業界は全体的に競争が激しくなる一方である。原材料や立地場所、営業、包装など様々な面にわたり、食材費や商品開発費、人件費、賃借料、営業費用の増大という事態に見舞われている上、コロナ禍によるダメージも受けている。ベーカリーショップは、大型レストランや実店舗、大規模なふれあい型エンタメ事業などとは異なり多額の投資を必要とせず、よって経営困難な店を閉店するのも容易である。
(中国経済新聞)