テンセントがユービーアイソフトの買収を検討か

2024/10/8 19:30

10月7日、中国のネットサービス大手のテンセント(騰訊控股)とユービーアイソフトの創業者ギレモット氏(Guillemot)の一族が、フランスのゲーム大手「ユービーアイソフト」(Ubisoft)を買収し、非公開化する方向で検討していると伝えられた。

関係者の情報として、テンセントとギレモット氏一族はかねてからユービーアイソフトについて、会社の私有化も含めて経営を安定させ価値を引き上げる方法を求め、コンサルタントに相談をしていたと伝えられている。ただし私有化についてはまだ初期段階であり、実行に至るかは定かではない。またテンセントとギレモット氏一族は他の方法も検討しているという。

フランスに拠点を置き、ギレモット氏の一族が創業してゲームの開発やリリース、販売を手掛けるユービーアイソフトに対し、テンセントは2018年3月に株式5%を取得した。公開情報によると、ユービーアイソフトは中国本土の上海、北京、成都も含めて28か国に支店を設けている。主な作品はトリプルAクラスの一つである「アサシン クリード」シリーズ(Assassin’s Creed)のほか、「レイマン」(Rayman)、「プリンス・オブ・ペルシャ」(Prince of Persia)、「Far Cry」シリーズ、「ゴーストリコン」シリーズなどがある。

テンセントの最新の決算報告によると、2024年3月31日の時点で,ユービーアイソフトの株式9.986%を保有し、9.185%の議決権を持っている。またギレモット氏一族もユービーアイソフトの株式15.438%および議決権の20.455%を持っている。ユービーアイソフトは今回の買収情報が伝わったことで、株価は10月4日金曜日に1996年のIPO以来最大となる33.52%の値上がりを記録した。ただそれでも年初に比べて約40%値下がりしており、会社の最新の時価総額は20.3億ドル(約3013億円)である。ゲームのラインナップや今後の財政状況に対する投資家の懸念感が株価下落につながっている。ユービーアイソフトは先ごろ、今年度の目安として会計年度第2四半期の受注予想額をそれまでの5億ユーロ(約814億円)から3.5億~3.7億ユーロ(約569億円~602億円)に引き下げている。

これについて、ユービーアイソフトのCEOであるYves Guillemot氏は電話での決算報告会で、「『スター・ウォーズ 無法者たち(Star Wars Outlaws)』の売上状況が芳しくなく、『エックスディファイアント』も思うように伸びていない」との理由を述べている。当初11月に発表予定だった「アサシン クリード シャドウズ」についても、 「時間をかけて練り上げる必要がある」として、発売を2025年2月14日に延期し、予約済みだったプレーヤーに対しては返金すると発表している。

テンセントは現段階で、ユービーアイソフトの買収案件について見解を示していない。

(中国経済新聞)