電子商取引大手のアリババは今、SHEIN、TEMUなど越境EC大手の海外事業拡大による影響を受け、対応策について頭をひねっている。
7月19日、アリババ傘下のショッピングモール「タオバオ」がひそかに「アパレル品の海外送料負担計画」と名付けた海外進出案件を発表した、と伝えられた。販売業者に対して価格の決定権や商品所有権を与えるほか、別途店を開いたり海外への輸送法を考えたりする必要もなく、注文を受けて品を中国国内の集荷倉庫に届ければ納品とみなし、返品や返金、返品時の送料といった費用も免除という。アパレルの販売者は今年に入り、返品や在庫問題、コスト問題に悩まされており、今回のタオバオの措置は、各社に対し低コストでの海外の市場拡大を支援するためのものと見られている。
売主はメッセンジャーアプリ「千牛」にログインし、タオバオAppのユーザーに販売し、海外への搬送やユーザー運営はアリババグループ傘下の国際事業部門「阿里国際数字商業集団(AIRC)」が担当するという。すなわち、販売側は「完全委託」に近い形で、価格決定権を持った上でタオバオを通じて海外に進出することになる。
ある販売者によると、タオバオはアパレル関連で7月15日、サイクルウェア、スポーツシューズ、スポーツウェア、カードケース、アクセサリー、メンズ・レディースシューズ、腕時計、めがねなど、アパレル品を中心に299件の詳細品目を対象とした「淘天アパレル品海外送料負担計画の参入基準」を発表したという。
タオバオがこのように販売者の海外進出を強く支援する理由として、越境RCにおけるアリババの新機軸ではないかと見られている。タオバオは、返品問題に苦しむ販売者を輸送費補助という形で支えることで、中国国内のアパレル業者をさらに海外通販に参入させて競争を促すことを狙いとしているようだ。Tmallタオバオは以前、2021年の春節前の書き入れ時に海外から2000万人の注文を集めたと発表している。
SimilarWebによると、2023年12月のユニークビジター数について、TEMUは4.67億人、アリババ傘下のAliexpress(アリエクスプレス)は後塵を拝し4.22億人であった。SHEINはそれに次ぐ1.723億人となっている。
アリババの呉泳銘CEOは2023年11月、決算報告会議で「AIRCは現在海外で、利用率が全般的に高いのは東南アジアやトルコなどいくつかのエリアのみであり、伸ばせる余地がふんだんにある」と述べている。海外のEコマース事業をどのように拡大していくか、経営陣の手腕が見どころである。
(中国経済新聞)