アリババ国際部門「越境EC事業でのAI利用量は2か月ごとに倍増」

2024/07/19 11:30

様々な業種でAIの導入が進む中、ここ1年間特に力を入れているのが越境ECである。マーケティングや顧客対応、あるいは作図、商品情報の改良などといった面でAIが結びついているほか、言葉や文化の違い、人材不足といった問題への対応も期待されている。

アリババの国際電子商取引部門でAI開発責任者を務める張凱夫氏によると、AliExpressや、Trendyol、Darazなどの各事業におけるAIサービスの利用量が去年11月から2か月ごとに倍増し、今は1日平均のべ5000万件以上となっているという。また2023年4月にはAI Businessを発足させており、張氏は「越境ECにおけるAIの一番の価値は、人手に代わることではなく、商品受付時のクリック率や歩留まりが引き上がることだ」と述べている。

AIによる越境ECの再編といった問題について、アリババの国際技術部門の責任者である徐昭氏は、越境ECにおけるAIの影響力増大は3つのステップに分けられると述べている。

最初のステップは、既存の事業やECモデルの中でAIをコストダウン・効率アップに役立たせることである。ここではAIの生産力でビジネス上の収益や効果がどれだけ上がるかに注目が集まる。次のステップは、AIの利用が広まるにつれて、越境ECのつながりの中でAIを従来のECモデルの改善に利用するだけでなく、ビジネスモデルや商品モデルの革新への力とすることである。AIは世界の国や地域のカスタマイズ需要を掘り起こし、海外で中国国内の従来の商品配置モデルとは違うKOL=「Key Opinion Leader」の案内というモデルの中で、売主側に画期的なイノベーションをもたらせるようにしていくことである。

最後のステップについて徐氏は、消費者や運営側、販売側だけでなく、社内でも経営面で十分に伸びる余地があると述べている。中国の越境ECでは、品選びについてまだ「サプライチェーンをそのまま海外へ移動」という状態にあることが多い。「AI+越境EC」という3つ目のステップは、AIにより越境ECを海外現地のオリジナルリソースや収益構造と中国のサプライチェーンをうまく結びつけ、イノベーションすることである。こうした形で越境ECは一段とグローバル化してゆくという。

(中国経済新聞)