中国の農村部で結婚にかかる費用が高騰、社会問題に

2024/05/14 12:30

中国はこのところ、一部の農村地域で結納金など結婚にかかる費用が急激に増えており、社会や経済面で重大な問題となっている。高額な結納金により結婚が金のかかる場になっている上、結婚を嫌がる傾向が高まるなど、様々な社会問題を引き起こしている。中国共産党系の期刊誌「半月談」の調査によると、これにより多くの家庭が莫大な借金を負っている。

遼寧省鞍山市台安県は、10年前は5万~8万元(約107万円~172万円)だった結納金が今は15万元(約321万円)に跳ね上がっている。高額な結納金は新婦にとって生活の支えとはなるが、新郎にとっては重い負担に苦しむ。ほかにも住まいや車、挙式などにも出費が必要であり、中国で結納金の平均額は14万元(約302万円)に達している。

また調査によると、各地とも貧しい家庭ほど結納金が高くなっていることが分かった。山東省菏沢市成武県では、新郎は18.8万元(約405万円)の結納金を負担する上、挙式がらみでもろもろの出費もかさむ。結婚はお金のかかるものとなって、農村の一般家庭では相当額の負担になる。

Golden bracelet as a blessing in chinese wedding

このようになった理由として、都市化の進展や虚栄心、不均衡な男女の人口比があげられる。山東省巨野県では結納金額は6万元(約129万円)以下という目安を設けるなど、地域によっては高騰を防ぐための取り組みを進めている。しかしそれでも費用に歯止めをかけられない地方が多い。離婚率が上がっていることも農村の社会構成が変わっていることの現れである。離婚は通常、性格の不一致や生活習慣の違いが原因であるが、高額な結納金はえてして結婚後の対立を巻き起こすことになる。

武漢大学社会学院の王徳福准教授など専門家は、若い夫婦が責任感を身に着けるように結婚前の教育やガイドに力を入れるべきと主張している。また、結納金がゼロまたは低額という風習の地域をPRするとの策も訴える。取り組みをする際も様々な方面から手を付け、社会問題が発生しないように農村部の結婚に関する経済問題を改善していく。さらには、農村部の片親世帯で残された子供の問題について、社会のサポートや保障策に力を入れ、困難を乗り越えて成長させるよう支援すべきだと主張している。世の中全体で努力すれば、これら農村部の結婚に伴う経済や社会的問題は徐々に改善し、家族と社会が円満な関係となるだろうと述べている。

(中国経済新聞)