不倫相手の女性インフルエンサーに住宅購入用として約8300万円を送金

2024/03/1 20:30

北京市第三中級人民裁判所は2月27日、不倫相手のインフルエンサーに家を買うために400万元(約8376万円)近くを与えた男性の妻が返金を求めていた訴訟案件で、贈与を無効とし全額の返金を命じる判決を下したと発表した。

李さんと胡さんは結婚して10年になる仲の良い夫婦で、このところ夫の胡さんは仕事が順調で出張することが多くなった。李さんはあまり気にはしていなかったが、いつからか夫がスマホでのビデオ鑑賞に夢中になっていることに気づいた。

ある日李さんは、胡さんの銀行口座から数百万元(1000万円上)が振り込まれているのを発見した。振り込み先は、胡さんがいつも見ているビデオアプリの金さんという若いインフルエンサーだった。

李さんに問いただされた胡さんは、最近金さんと交際を始めたことを認めた。出張と称してしばしば金さんの住まいに行き、好意を引くために金さんとその母親に住宅購入用とそのリフォーム代として合わせて400万元(約8376万円)近くを振り込んだ。住宅はすでに金さんの名義で登記されていた。

夫婦で貯めていた巨額の財産を夫が無断で使い果たしてショックを受け、途方に暮れた李さんは、金さんとその母親を相手取り、全額を返金してもらうよう訴訟を起こした。

金さんは法庭で、「いずれ結婚したいと思って胡さんと付き合っていた。結婚しているとは知らなかったので、わざと夫婦関係を乱すような行為にはあたらない」と答弁した。また、インフルエンサーとして稼ぎもよく、母親とともにお金を受け取ったのも胡さんの気持ちを確かめたかったからであり、金が目的ではないので返金する必要はないと言った。第三者として法廷に臨んだ胡さんは、過ちを認めたほか、「付き合い始めてすぐに(胡さんが)未婚であると知った」という金さんの言葉に反論しなかった。

裁判所は審理の結果、胡さんの名義の財産は夫婦共同のものであって平等に分ける権利があり、胡さんが配偶者である李さんの同意を得ずに無断で巨額の財産を浮気相手に贈与したことは無権限処分であり、かつ妻ある身でありながら金銭を贈ったのは公序良俗に違反するもので、贈与は無効であると判断した。また、金さんは胡さんの結婚を知らなかったと主張したが、2人はかなりの年齢差があること、交際期間がわずか数か月であること、また金さんが交際前に100万元を受け取り散財していたことなどを考えて、金さんが慎重に応じていたとは考えにくく、普通の男女交際とは見なされないものとした。よって主張を却下した上、金さんとその母親に対して受け取った金の全額返金を命じた。

(中国経済新聞)