だれもがデジタルの分身を持つ、このような時代が来るのか (その1)

2023/10/28 14:30

中国では、デジタルの仮想人間の研究や開発がどの程度進んでいるのだろうか。以下、2社の製品を事例にデジタルヒューマン産業の最新動向を解説する。

まず1社は、180種類以上の国籍や種族のイメージを有し、120種類以上の言語に対応する万興科技のAIGC「万興播爆」である。「本物の外国人」、オリジナル人の派生、新たに造られた「外国人モデル」という3種類のデジタルヒューマンを生み出せる。つまり、本物の外国人のイメージ、自分によく似たクローンのデジタルヒューマン、あるいは現実には存在しない造られた外国人モデルのイメージを選択できる。現在、この会社の主なユーザーは海外通販を手掛ける会社であり、バーチャルキャスターを使った大型ビデオの制作に役立っている。

「万興播爆」やこれと同類の製品が現れるまでは、煩雑でお金のかかる実際の現場での撮影が厄介な問題となっていた。普通の撮影では適切なロケの場面が必要で、さらにお金をかけて外国人モデルを起用し、言葉の問題でしばしば撮影に支障も出ていた。またのちの編集や制作も時間やコストがかかり、完成に至るまで高額の費用がかかっていた。

しかしAIGCの「万興播爆」や仮想のデジタルヒューマンが誕生したことで、たちまちバーチャルのキャスター出来上がり、さらにはソフトウェアにより簡単に音声の吹き替えや言語の置き換え、モデルの交代といった操作もできるようになった。24時間休まず商品を勧めたり紹介したりして、活動の効率や質が大きく向上したのである。

もう1社は、湖南省の放送局・湖南広電の子会社である完全国有企業の「芒果幻視科技」である。XR(クロスリアリティ)の制作、デジタルヒューマンの開発、ブロックチェーンレイヤーの開発、デジタル派生ソフトウェアの開発、仮想コンテンツの運営を一手に行う総合的なXRテクノロジー会社となることを目標としており、さらにはブランド「芒果」で独自のメタバースにしようとしている。

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