香港、新生児1人につき38.4万円を支給

2023/10/27 17:30

香港の李家超行政長官は10月25日、出生率を引き上げるための様々な策を発表した。この中で、両親のいずれかが香港籍または永久権所持者で、香港で生まれた新生児に対し、2万香港ドル(約38.4万円)を支給するという策を3年間実施する。

李長官は香港の出生率について、夫婦が産む子供の数は減る一方で、2022年は平均0.9人と過去最低だったと発表した。さらに、香港は世界的にも長寿の地域で、65歳以上の高齢者の割合が今後10年間で2割増えて3分の1近くに達するという。出生率の低迷を前に政策の方向性を示すことが不可欠だと見ている。

李長官は、両親のいずれかが香港籍または永久権所持者で、香港で生まれた新生児に対し、10月25日から1人につき2万香港ドル(約38.4万円)を支給すると発表した。期間は3年間とし、その後改めて検討するという。また、住宅に関わる税控除対象の上限額の引き上げも発表している。2024-2025年度から、10月25日以降に生まれた子供と同居している場合は、子供が満18歳になるまで「住所貸付利息控除」または「住宅賃貸料税費目控除」の上限額をこれまでの10万香港ドル(約192万円)から2割増しの12万香港ドル(約230万円)とする。

また香港住宅委員会は、新生児のいる世帯に対し優先的に住宅選びや住居の割り当てをする計画を打ち出した。住宅購入の機会を増やすほか、公営住宅を早期に割り当てるように支援していく。

さらに香港政府は、働きながら子育てをする家庭への支援を強化する一方で、仕事でも活躍できるように、労働世帯への手当を増やし、幼稚園などの定員および手当を増やす。そして未就学児童の預かりサービスを全域に広げ、「地域ヘルパー」サービスを向上させる。

李長官は、「子供を育てると、教育や夫婦関係といった新たな問題も出てくる。来年後半には5年間にわたる家庭教育の普及計画を打ち出し、今の計画と統合させた上、年間の補助金額を800万元(約1.53億円)に増額して、民間の教育事業を支えていく」と述べた。

(中国経済新聞)