高級ブランド通販サイト「寺庫」の転機

2022/09/17 19:00

9月15日夜、高級ブランド品を専門に扱うECプラットフォーム「寺庫(SECOO・スーク―)」は、中国の金融投資会社であるアラジン伝奇科技集団有限公司(以下、アラジンテクノロジー)と最大13億元(約266億円)の戦略提携を発表、アラジンテクノロジーが最大1億元(約20億円)を出資しハイエンド消費者層向け「寺庫中国クラブ」を設立し、加えてアラジンテクノロジーは寺庫の主力株を引き受け、最大2億元(約40億円)の戦略投資を行うと明らかにした。

この投資については、浙江大学国際聯合商学院デジタル経済と金融イノベーション研究センター共同主任兼研究員の盤和林氏によれば、寺庫へ投資するメリットは、購買力を持つハイエンド消費者層にあり、高級品が社会的ステータスを伴うこともこの層のニーズに合致している。しかし、現段階での寺庫は、顧客の流出が非常に深刻な状況にあり、前回の顧客体験で発生した問題によって多くの顧客を失ってしまった。また、高級品の販売やソーシャルチャネルが徐々に増えてきており、寺庫も競合他社との顧客獲得競争にさらされている。

全体として寺庫は、現在複数の経営課題を抱えている。5月13日、寺庫は2021年の決算を発表し、2021年の売上高は31.3億元(約641億円)で、前年比48%減、純損失は5.66億元(約116億円)となり、前年同期比547%の大幅な赤字となった。

盤氏によると、アラジンテクノロジーの投資によって寺庫は一時的に経営状況が回復傾向にあるが、同社は依然として消費者の信頼回復に困難を極めている。高級品を求める顧客層は少数で、限られた顧客層が寺庫が以前起こした運営問題で未だ苦しんでおり、今後新しい顧客を開拓することは難しいと見ている。一方、資本市場においては、アラジンテクノロジーの出資をきっかけに、他の投資家が寺庫に支援を始めるかどうかに注目する必要があるが、現在のところアラジンテクノロジーの影響力は限られているようだ。

(中国経済新聞)