2026年11月2~4日、四川省成都市で2026年世界パンダパートナー大会が開催された。30余りの国・地域から数百人の来賓が参加し、ジャイアントパンダの保護や地球規模の生態系保全、環境配慮型の発展などをテーマに議論を交わした。パンダを架け橋として国境を越えた協力を深め、文明間の交流と相互理解を促進するとともに、地球上のすべての生命が共存する社会の実現に向けた連携強化を目指す。
同大会は2024年の初開催以来、今回で3回目となる。国際的な保護協力のネットワークを広げ、各国・地域のパートナーとの交流を深める場として発展してきた。今回は、国際機関の代表や駐中国外国公館の関係者、地方政府関係者、国内外のジャイアントパンダや野生動植物の保護専門家、世界各地の動物園関係者、パンダ保護に関心を寄せる人々、環境配慮型の発展に取り組む企業など、幅広い分野から参加者が集まった。
大会の主要テーマの一つは、生態環境を重視する社会づくりに関する国際的な共通認識の形成だ。メインフォーラムでは、新華社の国家ハイエンドシンクタンクが関係機関と共同で作成した、生態環境保全に関する中国語・英語の政策研究報告書が発表される。中国の生態環境保全や生物多様性保護に関する理念と実践を体系的に紹介し、国際社会への発信を図る。

中国のパンダ保護事業は着実に成果を上げている。生息地の保護体制が整備され、野生のジャイアントパンダの個体数は1980年代の約1100頭から約1900頭に増加した。飼育下の個体数も拡大し、科学技術を活用した保護活動も進んでいる。また、1990年代以降、中国は20カ国・26機関とジャイアントパンダの国際共同保護研究に取り組んできた。
大会期間中には、関連する分科会が初めて四川省雅安市でも開催される。「ジャイアントパンダなど絶滅危惧種の保護に関する交流・協力対話」や「双宝和鳴・万物共生――ジャイアントパンダとキンシコウの科学的保護・文化交流対話」では、国内外の専門家らがパンダやキンシコウなどの希少動物の保護を巡り、研究技術の進展や成果の共有、国際協力、インターネット時代における環境教育や科学普及の新たな手法などについて意見を交わす。さらに、パンダの保護活動の事例紹介や関連文化の発信、観光・消費の新たな需要の開拓にも取り組む。
雅安市の関係者によると、同市で初めて開催される「双宝和鳴・万物共生――ジャイアントパンダとキンシコウの科学的保護・文化交流対話」では、中国パンダ保護研究センター雅安基地などへの視察も予定されている。国内外の参加者に、パンダの繁殖・飼育や野生復帰、生態系保全に関する雅安市の取り組みと成果を紹介する。
大会ではこのほか、「パンダ文化・創作商品市場」「パンダ関連商品の国際商品化権展示会」「自貢市の観光・文化ブランド特別展示」「パンダパートナー写真館」など、多彩な関連イベントも開催される。文化・創作商品市場には、パンダ関連商品や各地の特産品、無形文化遺産、先端技術を活用した展示品などが集まる。科学技術、文化、芸術を融合させ、パンダを活用したコンテンツ産業の裾野を広げるとともに、江蘇省、黒竜江省、四川省など各地の特色ある商品や文化を国内外の来場者に紹介する。
深秋を迎えた秦嶺山脈、岷山山脈、邛崍山脈では、山々が紅葉に彩られ、四川、陝西、甘粛の3省をまたぐ「パンダ生態回廊」が豊かな自然を取り戻しつつある。
2021年に設立されたジャイアントパンダ国家公園は、四川、陝西、甘粛の3省にまたがる。今年は設立5周年に当たり、同公園の建設成果を紹介することも大会の重要なテーマとなっている。
同国家公園の四川省区域は約1万9300平方キロメートルで、公園全体の約9割を占める。野生のジャイアントパンダ1227頭が生息している。四川省林業・草原局の関係者によると、過去5年間でパンダの生息地を累計34万ムー(約2万2667ヘクタール)以上修復した。生息環境の質は継続的に改善し、生物多様性も着実に向上している。
また、公園内の人為的な活動を厳格に管理するとともに、生態環境への影響が大きい施設の撤去も進めてきた。鉱業権200件を返上し、小規模水力発電所281カ所のうち270カ所が廃止された。
生態系の回復は、パンダだけでなく、ほかの野生動植物の保護にも好影響をもたらしている。四川省では過去5年間に植物の新種14種、両生類・爬虫類の新種2種が発見された。ユキヒョウの確認地点は年々増加し、キンシコウの個体群は全体として安定し、一部地域では生息域を広げている。また、綿陽市平武県ではヒョウの活動が再び確認された。

ジャイアントパンダ国家公園の整備は、中国の生態環境保全の着実な進展を示すものでもある。自然環境の保全を優先し、環境に配慮した発展を推進する取り組みは、各地の政府や企業にも広がっている。
大会期間中には「デジタル化・高度化と環境配慮型発展に関する協力大会」も開催される。環境負荷の低減や低炭素型産業、自然資源の経済的価値の創出などをテーマに、政府機関や業界団体、企業、専門家らが実践事例を共有し、地域経済の質的向上と経済・社会全体の環境負荷低減を後押しする。
また、ジャイアントパンダ国家公園の唐家河エリアに位置する広元市青川県落衣溝村は、かつて林業を主な収入源としていた村から、森林を守りながら観光で地域を豊かにする村へと生まれ変わった。住民の間では民宿経営などが広がり、観光業を通じて収入を得るようになった。自然環境の保護と地域経済の発展を両立させる農村振興の事例として注目されている。
大会期間中には「ブランドと生態発展フォーラム」も開催される。政府や企業の代表、ブランド構築・発信分野の専門家らが、中国ブランドの高品質な発展と国際発信のあり方について議論し、中国の都市や企業が世界に向けてブランドの魅力を発信するための新たな道筋を探る。
パンダを通じた国際交流と新たなビジネス機会の創出
愛らしい姿で親しまれるジャイアントパンダは、中国の国宝であると同時に、平和と友好を伝える国際交流のシンボルでもある。世界各国・地域との交流の輪を広げ、文明間の相互理解を促進することも、世界パンダパートナー大会の重要な役割となっている。
今年の大会では、赤い小さな帽子をかぶり、青いオーバーオールを着た公式マスコット「球球(チウチウ)」が登場する。四川省大涼山の「妞妞合唱団」とともに、歌を通じてパンダの物語を世界に発信する。
今回の大会の大きな特徴の一つは、異なる分野との融合だ。AIを活用したデザインやデジタル文化商品、観光、都市ブランドなど、パンダを活用したコンテンツと環境関連産業との連携が進んでいる。映画や映像作品、キャラクターグッズ、デジタルコレクション、都市のランドマーク、環境配慮型製品など、パンダの活用領域は広がり、文化的なシンボルであると同時に、新たな産業を生み出すコンテンツとしても存在感を高めている。
世界的に人気を集めるパンダ関連商品は、観光など関連産業の発展にもつながっている。大会では、パンダをテーマとした観光コンテンツの集積を目指し、「中外観光文化交流大会」を開催する。国内外の観光関連団体や旅行会社、観光施設、観光関連企業を結び付け、AI技術と演出を組み合わせた企画を通じて、中国各地の自然景観や文化資源を紹介する。北宋の文人・蘇東坡が各地を巡るというストーリーを軸に、四川省楽山市や自貢市、河北省石家荘市などの観光の魅力を発信する。
パンダの保護から生態系の再生、地域経済の転換、国際的な文化交流まで、今回の大会は幅広い分野で協力の可能性を探る場となっている。
自然環境の保全を基盤に地域の発展を促し、その成果を世界と共有する。パンダを架け橋として各国・地域との連携を深め、人と自然が調和して共生する持続可能な社会の実現に向け、中国は国際社会との協力を一層推進していく方針だ。
(中国経済新聞)
