中国の2026年1~9月の貨物貿易総額は39兆9,400億元(約919兆円)となり、前年同期比18.8%増加した。輸出入ともに2桁の伸びを記録し、設備製造業が輸出増加額の約9割を占めた。半導体や電気自動車(EV)などの先端製品・環境配慮型製品の輸出も大きく伸びた。複雑化する国際情勢のなか、中国の貿易は規模の拡大と輸出構造の高度化を同時に進めている。
中国税関総署の王軍報道官兼副署長は10月14日、国務院新聞弁公室が開いた記者会見で、中国の対外貿易はさまざまな外部からの衝撃や課題に適切に対応し、良好な発展基調を維持していると述べた。
王氏は、国際情勢が複雑化し、さまざまなリスクや課題が相次ぐなかでも、中国の貿易を支える原動力と活力は一段と強まっており、対外貿易の底堅さが示されていると指摘した。そのうえで、10~12月期も輸出入の増加を維持するための基盤と支えがあるとの見方を示した。
中国の貿易は、四半期ごとに成長ペースが加速している。2026年1~3月期の輸出入総額は前年同期比15.3%増、4~6月期は18.3%増、7~9月期は22.3%増となった。
月次でも6カ月連続で2桁成長を維持した。特に9月の輸出入総額は5兆1,600億元(約119兆円)となり、月間で初めて5兆元を突破。前年同月比27.5%増と、大幅な伸びを記録した。
王氏によると、1~9月の貿易成長率は過去5年間の同時期で最も高く、四半期・月次ともに増加ペースが加速している。主要経済国・地域と比較しても高い伸びを示しており、中国は世界最大の貨物貿易国としての地位を維持している。
2026年1~9月の輸入額は16兆7,400億元(約385兆円)となり、前年同期比22.3%増加した。3月以降、輸入の伸び率は7カ月連続で20%を超え、9月の輸入額は初めて2兆元(約46兆円)を突破した。
中国税関総署は、輸入拡大の背景として、国内経済が安定して推移していることや、巨大な国内市場の需要が引き続き拡大していることを挙げた。また、先端製造業の発展に伴い、重要部品をはじめとする中間財への需要が高まっていることも輸入増加を後押ししている。
一方、輸出額は23兆2,000億元(約534兆円)で、前年同期比16.4%増となった。7~9月期の輸出額は初めて8兆元(約184兆円)を超え、前年同期比22%増を記録した。なかでも設備製造業の伸びが目立ち、1~9月の輸出増加額の約9割を同産業が占めた。
輸出品目の構成にも変化が表れている。中間財は輸出総額の半分以上を占め、世界のサプライチェーンの安定を支える重要な役割を果たしている。また、輸出製品の高度化や環境対応も進んでいる。1~9月の輸出額は、集積回路(IC)が前年同期比99.1%増、EVが72.3%増、リチウムイオン電池が36.4%増、風力発電機および関連部品が22.4%増となった。
こうした変化の背景には、先端製造業の成長に加え、産業構造の高度化や業種間の連携強化がある。中国製品のブランド力も高まっており、自主ブランド製品の輸出額は前年同期比26.7%増加した。輸出総額に占める割合は24.8%となり、前年同期から2ポイント上昇した。
中国企業は、世界の消費市場で進む個別化や利用シーンに応じた商品選びの広がりを捉え、多様な需要に対応した製品開発を進めている。
例えば、近年、臨場感のある一人称視点の動画が人気を集めるなか、中国企業は人物追跡、音声・ジェスチャー操作、AIによる自動編集などの機能を備えた携帯型撮影機器を開発し、世界の動画クリエーターから支持を得ている。税関統計によると、1~9月のデジタルカメラ輸出額は前年同期比40.5%増加した。
このほか、キャンプなど屋外での利用に適した小型製氷機や、設置後すぐに使える携帯型エアコンなども海外市場で存在感を高めている。中国企業は大口受注だけでなく、消費者の細かなニーズにも目を向け、品質と技術力を強みに海外市場の開拓を進めている。
中国の対外開放が進み、国際貿易における協力の機会も広がっている。中国からの安定した供給は世界のサプライチェーンを支えるとともに、中国市場への参入を目指す海外企業にも商機をもたらしている。
税関統計によると、1~9月は120を超える国・地域との間で輸出入がともに増加した。また、中国と自由貿易協定(FTA)を締結している相手国・地域のうち、7割を超える相手との貿易で輸出入がともに増加した。FTAによる優遇措置の効果が、各国・地域との貿易拡大につながっている。
中国の対外貿易は、先端製造業を中心とする輸出競争力の向上と、巨大な国内市場を背景とした輸入拡大の両面から成長を続けている。今後は、複雑な国際情勢のもとで、こうした成長基調をどこまで維持できるかが焦点となる。
(※人民元から日本円への換算は、1元=23円として概算。実際の換算額は為替レートによって変動する。)
(中国経済新聞)
