中国では今年に入り、各地で有給休暇制度の徹底と分散取得(オフピーク休暇)の推進に向けた施策が相次いで打ち出されている。従業員の休暇取得を促進するとともに、観光や消費の活性化につなげる狙いがある。
河南省ではこのほど、省委組織部や省人力資源・社会保障庁など6部門が共同で「職員の有給・分散休暇制度のさらなる推進に関する通知」を発表した。通知では、有給休暇を週末や祝日、学校の春休み・秋休み、夏休みなどと組み合わせ、3~7日間の連続休暇を取得できるよう奨励。条件を満たす職場では、夏季に金曜日午後の時差退勤を試行し、「金曜半日+週末+有給」による短期旅行を後押しする方針も示した。

また、清明節や端午節、中秋節、農民豊作祭、黄河文化関連イベントなど地域の特色ある行事に合わせた分散休暇も推奨し、観光需要の平準化を図る。
通知では、「休暇を取らないことが献身」という従来の職場文化を改め、「効率的に働き、豊かに暮らす」という考え方を広めることを強調。「休みにくい」「休みたくない」といった心理的負担を取り除き、休暇取得を尊重する社会環境の形成を目指すとしている。
天津市でも、人力資源・社会保障局など5部門が有給休暇制度の徹底に関する通知を公表した。有給休暇を週末や祝日、学校の長期休暇と組み合わせるほか、結婚休暇、産休、配偶者出産休暇、育児休暇、介護休暇などと組み合わせて取得できるよう促進。短期間ずつ取得する柔軟な休暇制度の導入も検討するとしている。
このほか、陝西省、安徽省、貴州省、浙江省、雲南省などでも同様の通知が相次いで発表されている。
各地の施策では、職場文化の改善も重要な柱となっている。天津市は「仕事熱心だから休まない」「成果への影響を懸念して休めない」「周囲に合わせて休暇を控える」といった風潮の是正を掲げ、浙江省は「無意味な残業」や「強制残業」の改善を求めた。貴州省も、「休暇を取らないことを献身とみなす考え方」を改めるよう呼び掛けている。
さらに、多くの地域では管理職や幹部職員が率先して休暇を取得することを求めている。河南省では所属長を制度実施の第一責任者と位置付け、幹部が模範となって休暇を取得し、全職員が十分に休暇を取得できる環境づくりを推進するとした。雲南省や貴州省も同様に、幹部の率先取得を義務付け、実施状況を監督対象に組み込むとしている。
こうした動きは、今年7月に国務院が正式承認した**「消費拡大『第15次五カ年計画』」**にも沿ったものだ。同計画では、労働者の休暇取得権を保障するとともに、「職員有給年次休暇条例」の改正を進め、有給休暇制度の実効性を高める方針を明記。有給休暇を伝統行事や地域イベントと組み合わせた柔軟な休暇取得を奨励し、条件の整った地域では小中学校の春休み・秋休み制度の普及も支援するとしている。
現在、中国では14の省・直轄市で小中学校の春休み・秋休み制度が導入されており、保護者の有給休暇と組み合わせることで家族旅行を促進し、観光やサービス消費の拡大につなげる取り組みが進められている。専門家は、休暇時期を地域ごとに分散させることで混雑の緩和にもつながるとの見方を示している。
(中国経済新聞)
