夏休みシーズンを迎え、中国では旅行需要が一段と高まるなか、鉄道を活用した新たな消費スタイルが広がっている。鉄道各社は買い物客やイベント参加者向けの専用列車、観光列車などを相次いで運行し、人の流れを地域消費へとつなげている。
河南省許昌市では、週末になるとスーパーマーケットで買い物を目的に訪れる省外からの観光客が増加している。鉄道の利便性向上により、「日帰りで買い物をして夜には帰宅する」という新たな旅行スタイルが定着しつつあり、省をまたいだショッピングや都市間消費が身近なものとなっている。

また、夏休みはスポーツ大会やコンサートが集中する時期でもあり、若者を中心に「推し活」やスポーツ観戦を目的とした都市間移動も活発化している。鉄道当局はファンクラブやイベント主催者と連携し、臨時の「ファン専用列車」や「サポーター専用列車」を運行。輸送力を補うだけでなく、商業施設や観光地と連携した割引やクーポンなどの特典も提供し、乗車券を地域消費へ結び付けている。
例えば、音楽フェスティバル終了後の深夜には、貴陽北駅から成都、重慶、深圳方面へ向かうファン専用列車が相次いで運行され、参加者はイベント終了後も余裕を持って観光や食事を楽しめるようになった。

今年上半期には、全国でコンサートやスポーツイベント向けのテーマ列車が445本運行され、鉄道が都市のにぎわい創出と消費拡大を支える重要なインフラとなっている。
一方、週末旅行や近距離旅行の人気上昇を背景に、短距離観光列車も急速に拡大している。鉄道会社は既存車両をリニューアルし、農耕文化や親子向け、ステージイベントなどテーマごとの車両を用意。大型パノラマ窓を備えた車両では沿線の景色を楽しめるなど、移動そのものを観光体験へと進化させている。
こうした「鉄道+観光」の融合は着実に成果を上げている。今年上半期の観光列車の運行本数は前年同期比84.8%増となり、「15日間有効・複数区間乗車可能」の観光乗車券は6万6,000枚以上を販売し、前年同期の20倍に拡大した。観光列車が沿線地域にもたらした消費額は44億4,000万元(約1,021億円、1元=約23円換算)に達し、地域経済の活性化を後押ししている。
(中国経済新聞)
