欧州猛暑で「中国避暑旅行」が急増 夏休みの訪中予約が前年比275%増

2026/07/23 16:30

欧州で40℃前後の猛暑が続く中、避暑先として中国を選ぶ欧州旅行者が急増している。家族連れを中心に訪中旅行が広がり、宿泊や飲食、買い物など幅広い分野で消費を押し上げるとともに、中国のインバウンド市場に新たな商機をもたらしている。

イタリア・ローマ出身のMarcoさんは、当初9月に予定していた家族旅行を前倒しし、中国を訪れた。「欧州の猛暑を避けるため、桂林、陽朔、龍脊棚田を巡るコースを選んだ」といい、OTA(オンライン旅行予約サイト)で航空券やホテル、漓江クルーズを予約した。

現地では、各地に設置された日よけや山間部の休憩所で販売される冷たい飲み物など、暑さ対策の充実ぶりに感心したという。「こうした細かな配慮は欧州ではあまり見られない。景色も素晴らしく、ぜひ欧州の友人にも勧めたい」と話した。

フランス・パリから訪れた32歳のAntoineさんは、友人とともに雲南省と貴州省を旅行した。「雲南は25℃前後でとても快適。OTAではフランス語のサポートもあり、安心して利用できた」と語る。さらに、空調設備や日よけ、飲料水設備など、中国の暑さ対策は「冷房のない古い建物や蒸し暑い地下鉄が多い欧州より快適だ」と評価し、「夏の中国旅行をぜひ勧めたい」と話した。

上海も主要な旅行先として人気を集めている。豫園や外灘、陸家嘴などでは、多くの欧州からの旅行者の姿が見られた。

夏休みを利用して両親と初めて中国を訪れたフランス人のMillaさんは、「中国はとても美しく、中華菓子も大好きになった。フランスより湿度は高いが、気候はこちらの方が好き」と語った。

ベラルーシから友人と旅行に来たVictoriaさんは、豫園の九曲橋で写真撮影を楽しみながら、「中国は街並みがおしゃれで、公園や歴史的建築も多い。欧州はとても暑いが、上海は湿度があって過ごしやすい」と話した。また、人気キャラクター商品の「POP MART」のフィギュアを数多く購入したという。

スペイン・マドリード出身のFelipeさんは、スペイン代表チームのユニフォーム姿で上海市内を観光。「初めての上海だが、人々は親切で、欧州より気候も快適。ワールドカップ優勝を記念して、アディダスで限定ユニフォームを購入する予定」と笑顔を見せた。

航空需要も大きく伸びている。中国中央テレビ(CCTV)によると、深セン空港では欧州9カ国を結ぶ国際線の利用が好調で、深セン出入国検査所の統計では、6月以降に同空港から入国した欧州旅客数は前年同期比31.6%増加した。

同程旅行傘下の海外旅行予約プラットフォーム「HopeGoo」によると、7月以降、エディンバラ、バルセロナ、ロンドン、マドリード、ローマなどから中国への航空券予約は前月比でいずれも20%以上増加し、英国発中国行きの一部路線では前年同期比80%以上の伸びを記録した。

携程(Trip.com Group)の統計では、今年の夏休み期間における訪中旅行者の上位20カ国・地域のうち、欧州諸国が30%を占め、予約件数は前年同期比275%増となった。観光地入場券の予約は20倍以上に拡大し、ロシアからの予約は全体の53.5%を占め、前年比553%増と大幅に伸長した。英国、フランス、ドイツなど西欧諸国を合わせると全体の約42%を占め、前年比では約150%増加した。

観光客の増加は飲食業界にも波及している。上海・豫園の老舗精進料理店「松月楼」では、7月に入って来店客数が前月比50~100%増加。欧州からの旅行者が昼食時間帯を中心に訪れ、英語など3言語表記のメニューを導入したという。

同じく豫園の南翔饅頭店でも、夏休み以降は欧州からの家族旅行客が増加し、小籠包が最も人気の商品となっている。

地方の宿泊施設にも恩恵が広がる。雲南省大理市で今年1月に開業した民宿「安予隠居塵外Villa」では、海外からの宿泊予約が全体の15%を占めるまでに成長した。イタリア人宿泊客を皮切りに、英国やフランスなど各国から利用客が訪れており、冷蔵庫や各国対応コンセントを備えるほか、雲南省の無形文化遺産「甲馬」の手作り体験も提供している。

山西省平遥古城の宿泊施設「山嵐隠舍」でも、海外予約比率は25%に達した。夏休み以降は欧米からの宿泊客が中心で、フランス人女性客とは観光や食事をともにするなど交流が深まり、現在もSNSで連絡を取り合っているという。

旅行業界でも新たな雇用が生まれている。昆明市の旅行会社でインバウンド旅行プランナーとして働く00後(2000年代生まれ)の羅毅軒さんは、以前は広東省で貿易業務に従事していたが、今年春に転職。現在は欧米からの旅行者向けオーダーメード旅行を担当しており、特に欧州客からは漢服を着用した写真撮影を組み込んだ中国伝統文化体験ツアーの人気が高いという。

携程は、「今年の夏休みはインバウンド需要が爆発的に伸びている。ホテル、観光地、旅行会社、自社レストランを連携させたエコシステムを構築し、『China Travel』の国際的な認知度をさらに高めたい」としている。

一方で、受け入れ側には課題も残る。旅行者の多くは地名しか知らず、地域の歴史や観光スポットについて十分な知識を持たないため、店舗側が丁寧な説明を求められるケースが多い。また、言語の壁による道迷いや問い合わせへの対応、ホテルや飲食店、商業施設における外国語対応や国際決済システムの整備など、受け入れ環境の一層の充実が求められている。

(中国経済新聞)