ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)産業が中国で急速な発展段階に入りつつある。政策支援の強化、巨額の投資資金の流入、製品の臨床試験や量産体制の整備が同時に進み、BCIは研究開発段階から本格的な産業化へ向けて大きく前進している。
中国政府はこのほど公表した「国民健康『第15次5カ年計画』」で、BCIを重点技術の一つに位置付け、研究開発の強化を打ち出した。これを受け、企業による製品開発や臨床試験、工場建設などが加速している。
投資面でも勢いが鮮明だ。IT桔子のデータによると、BCI分野への投資は2024年から急増し、2025年の投資件数は49件と前年の25件からほぼ倍増、投資額も27億2,300万元(約570億円)へ拡大した。2026年はさらに勢いを増し、上半期だけで60件を超える投資が実行され、投資額は70億元(約1,470億円)超と、すでに前年通年を大きく上回っている。

今年初めには強脳科技(BrainCo)が20億元(約420億円)規模のシリーズB+資金調達を実施し、その後も術理創新、智冉科技、階梯医療、明視脳機などが相次いで大型調達を実現した。中でも格式塔科技は、製品や臨床データがない段階にもかかわらず、上半期だけで総額5億7,000万元(約120億円)の資金調達に成功し、市場の期待の高さを示した。
市場規模も拡大が見込まれる。調査会社・賽迪顧問(CCIDコンサルティング)は、中国のBCI市場規模が2028年には61億4,000万元(約1,290億円)に達し、2024~2028年の年平均成長率(CAGR)は17.7%になると予測している。
製品開発でも進展が続く。国家薬品監督管理局は、博睿康が開発した「植込み型BCI手部運動機能代償システム(NEO)」を革新的医療機器として承認し、世界初となる侵襲型BCI医療機器が臨床応用段階に入った。また、脳虎科技や「北脳一号」を開発する企業では登録臨床試験が進められており、多くの侵襲型・半侵襲型製品が年内に被験者登録を完了する見通しとなっている。
生産体制の整備も本格化している。格式塔科技は成都市に建設したスーパー工場の第1期施設を6月末に稼働させ、小ロット生産や技術検証を開始した。智冉医療も約2,000平方メートルの臨床グレード製造施設を建設し、開発から製造まで一貫した体制の構築を進めている。
制度面でも環境整備が進展した。国家薬品監督管理局は6月末、BCI医療機器の分類・命名に関するガイドラインを公表し、侵襲型・植込み型製品を第三類医療機器として管理することを明確化した。さらに湖北省では全国初となるBCI医療サービス価格が設定され、上海市では博睿康の製品が医療保険の適用対象となるなど、商業化を後押しする制度整備も始まっている。
専門家は、現在の投資は企業の実際の事業化ペースを上回る「未来への投資」の側面があるとしながらも、政策、資本、技術開発が同時に前進していることから、中国のBCI産業は量産・実用化目前の重要な転換点を迎えていると分析している。今後は臨床体制の拡充や保険制度の充実が進めば、BCIは本格的な産業として新たな成長段階へ移行する可能性が高いと期待されている。
(中国経済新聞)
