中国汽車工業協会(CAAM)が11月10日に発表したデータによると、2025年10月の新能源汽车(新エネルギー車、バッテリー電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を主とする)の新車販売台数は、自動車全体の新車販売に占めるシェアが51.6%に達し、初めて過半数を超えた。これは中国の自動車市場が電動化の転換点を迎えた象徴的な出来事であり、業界の急速な変革を物語っている。
同月、中国の自動車総販売台数は332.2万台で、前年同月比8.8%増、対前月比3%増となった。一方、NEVの販売台数は171.5万台に上り、前年比20%増、前月比6.9%増と過去最高を更新した。特にBEVが主力で、PHEVは60.5万台(前年比3%増)と堅調に推移した。CAAMのデータはメーカーからの卸売販売(国内販売と輸出を含む)を基にしており、小売販売ベースの中国乗用車市場協会(CPCA)データでは、NEVの小売シェアが57.2%に達するなど、市場全体で電動化の勢いが加速している。

この好調の背景には、政府の積極的な補助金政策と「以旧換新」(旧車更新促進)施策の効果が大きい。2024年末に導入されたこの政策は、2025年も継続されており、旧型車の買い替えを促進し、NEVの普及を後押ししている。加えて、充電インフラの整備が進み、二三線都市での需要が拡大。2025年上半期時点で、乗用車のNEVシェアはすでに48%を超えていたが、10月の過半数突破は、2020年の政府目標(2025年までに20%)を大幅に上回る成果だ。
メーカー別では、中国国内ブランドが圧倒的なシェアを占めている。BYDは10月のNEV販売で首位を維持し、テスラも中国市場で2万6,006台を販売したが、過去最低水準に低迷した。一方、日本メーカーではマツダの新型EV「EZ-60」が4,565台を売り上げ、CX-5を上回るヒットとなり、トヨタや日産もEV販売を伸ばしている。輸出面でもNEVが牽引役で、1月から10月までの輸出台数は201万台(前年比90.4%増)と急増し、グローバル市場への浸透を加速させている。
累計で見ると、2025年1月から10月までのNEV生産台数は1302万台(前年比33.1%増)、販売台数は1294万台(同32.7%増)と、自動車全体の生産・販売台数(2769万台、2769万台)が前年比10%超の成長を遂げる中、NEVが主導的な役割を果たした。iiMedia Researchの報告書では、2023年のNEV市場規模が11.5兆元(約250兆円)で前年比16.2%増だったのに対し、2025年までに23.1兆元(約352兆円)規模に拡大すると予測されている。
今後の展望は明るいが、課題も残る。販売台数の急増に対し、利益率の低下や国内競争の激化(「内巻」現象)が指摘されており、外資系メーカーは値引き合戦に巻き込まれている。専門家は、2025年通年のNEV販売台数が1600万台を超え、ガソリン車を上回る可能性が高いと見込むが、輸出規制やグローバル競争の激化が新たな試練となる。
(中国経済新聞)
