北方稀土、2025年上半期の純利益が20倍近く急増

2025/08/27 15:18

中国のレアアース業界をリードする北方稀土集団は8月26日夜、2025年上半期の決算報告を発表した。報告によると、売上高は188.66億元(前年比45.24%増)、親会社帰属純利益は9.31億元(前年比1951.52%増)と、驚異的な成長を遂げた。この好業績を受け、8月27日の同社株価は高値で寄り付き、午前終値で52.7元(前日比7.31%増)を記録。年初からの累計上昇率は150%に達した。

決算報告では、利益急増の主因として、主要レアアース製品の販売量増加と価格上昇を挙げている。2025年上半期、同社はレアアース酸化物を約2万トン販売(前年比15.71%増)。特に、主力製品である酸化プラセオジム・ネオジムの価格が年初から上昇を続け、平均価格は44.34万元/トン(前年比22%増)に達した。また、中重レアアースの酸化テルビウムも714万元/トン(前年比26.5%増)と大幅に値上がりした。

レアアースは、スマートフォン、コンピュータ、電気自動車、ロボット、エネルギーシステムなどに不可欠な素材であり、米中間の戦略的競争の焦点となっている。2025年4月、中国商務部と税関総署は、サマリウム、ガドリニウム、テルビウムなど7種類の中重レアアース関連品目に対し、輸出規制を導入。この措置は、米中関税戦争の激化に伴う供給制限の一環であり、グローバル市場でのレアアース価格を押し上げた。 

2022年には、コロナ禍による輸送制約で酸化プラセオジム・ネオジム価格が110万元/トンの過去最高値を記録したが、供給過多により2024年上半期には36.5万元/トンまで下落。2025年は米中対立の影響で再び価格が急上昇している。

北方稀土は、世界最大のレアアース企業グループとして、白雲鄂博鉱山の独占的資源を背景に圧倒的な競争力を誇る。2025年上半期、新エネルギー車(世界販売台数1000万台予測、1台当たり5kgのレアアース磁石を消費)や風力発電(設備容量120GW)、人形ロボット(1台当たり2~4kgのレアアース)などの需要拡大が業績を後押し。同社はテスラの「オプティマス」向けサプライチェーンに参入し、年間3000トンの高性能ネオジム磁石プロジェクトも推進している。

好調な業績の一方、価格変動リスクや国際競争の激化、グリーン採掘に伴う環境コスト増などの課題も存在する。2024年の価格下落は同社利益を大幅に圧縮した過去があり、米国やオーストラリアの競合企業による生産拡大も脅威となる。それでも、北方稀土は採掘から深加工までをカバーする強固な産業チェーンと、国内70%の採掘割り当てを武器に、グローバル市場での主導権を握る。

(中国経済新聞)