香港のアクション映画界のレジェンド、ジャッキー・チェン(71歳)が主演を務める新作アクション映画『捕風追影(原題、英題:The Shadow’s Edge)』が8月16日、中国で全国公開された。公開初日で興行収入6383万元(約14億円)を記録し、累計興収は2億5500万元(約56億円)に達するなど、ジャッキーの健在ぶりを示している。8月8日にはスイスで開催された第78回ロカルノ映画祭で生涯功労賞を受賞し、9度目の同賞獲得となった。

『捕風追影』は、マカオを舞台にしたアクション犯罪映画。AIを活用した刑警チームが、監視カメラ映像を消去するハイテク犯罪集団に苦戦する中、ジャッキー演じる引退警察官で追跡の達人・黄徳忠が復帰。梁家輝(レオン・カーファイ、67歳)が演じる犯罪組織の首領・傅隆生と熾烈な戦いを繰り広げる。両者は2005年の『神話』以来20年ぶりの共演で、正義と悪の壮絶なアクション対決が見どころだ。特に「家具城での乱闘」や「コンテナ埠頭の匕首戦」は、ジャッキーの伝統的なカンフースタイルと現代的な演出が融合し、「近10年で最高のジャッキー映画」と評されている。
監督は『シャドー・ハンター』の楊子が務め、張子楓、文俊輝、此沙、郎月婷ら若手実力派が脇を固める。張子楓演じる若手刑事・何秋果は、最初は孤立しながらも成長し、ジャッキーとの師弟関係が物語に深みを加える。観客からは「拳拳到肉(拳が肉に当たる迫力)」や「梁家輝の冷酷な魅力が光る」との声が上がり、特に梁の演じる「狼王」が「年度最優秀反派」と称賛されている。
映画は公開前日までに点映および前売りで興収1億元(約22億円)を突破し、公開3日目には単日興収1位を獲得。予測では最終興収10億8900万元(約240億円)に達する見込みで、ジャッキー主演作の近年低迷を打破するヒット作となる可能性が高い。
ジャッキーは1961年に子役として映画界入りし、『蛇形刁手』(1978年)、『醉拳』(1978年)で一躍スターに。『警察物語』(1985年)、『A計画』(1983年)、ハリウッド進出後の『ラッシュアワー』(1998年)などで世界的な人気を博した。アクションとユーモアを融合した独自のスタイルは「映画史をジャッキー前と後に分けた」と評され、2016年のオスカー生涯功労賞を含む9つの国際映画祭での同賞受賞は、アジア人俳優として初の快挙だ。

71歳の今も年2本以上の主演作を維持し、『捕風追影』では高所アクションや肉弾戦を自ら演じる。北京プレミアで「40歳で引退を考えたが、観客が求める限り演じ続ける。私はアクションスターではなく、アクションができる俳優だ」と語り、ファンから「老いてなお盛ん」と称賛された。
8月8日、ジャッキーはロカルノ映画祭で生涯功労賞を受賞。授賞式では『A計画』と『警察物語』が上映され、映画祭芸術監督ジオナ・ナザロ氏は「ジャッキーはアクション喜劇で東西の架け橋を築き、映画史に革命を起こした」と称賛。同賞はジャッキーの64年にわたるキャリアと、アクション映画への貢献を改めて証明した。
(中国経済新聞)