大連の男性がスーパーで購入した五粮液347本のうち207本が偽物だった

2025/07/20 11:30

大連市に住む李さんは、地元の華潤万家スーパーマーケット星河広場店で、高級白酒「五粮液」を347本購入した。1本あたり約1038元(約2万2000円)と高額な買い物だったが、後にそのうち207本が偽物であることが発覚し、大きな問題となった。この事件は、消費者、警察、裁判所、そしてスーパーマーケット側を巻き込んだ騒動となり、偽造品問題と企業の責任について改めて注目を集めている。

2024年1月2日から1月22日にかけて、李さんは華潤万家スーパーマーケットで五粮液を347本購入した。購入後、李さんはこれらの酒を転売目的で地元の煙酒店に預けた。しかし、煙酒店の店主から「この五粮液は偽物かもしれない」との指摘を受け、事態が動き出す。李さんは直ちに市場監督管理部門に通報し、調査を依頼。事件はさらに警察に引き継がれ、五粮液グループによる鑑定が行われた結果、347本のうち207本が偽物であることが確認された。

スーパーマーケット側は、「入庫時には本物の五粮液だったが、従業員の周某が職務上の立場を利用して偽物にすり替えた」と主張した。しかし、この説明は裁判所によって疑問視されることとなる。

大連市甘井子区人民法院は、この事件について詳細な審理を行った。スーパーマーケット側は「入庫した酒は本物だった」と主張したが、裁判所は、もしその主張が本当であれば、入庫時の五粮液が適切に検査されておらず、合法的な仕入れルートが確保されていなかったと推定。スーパーマーケットが偽物の販売を「知っていた」と認定し、消費者保護の観点から厳しい判決を下した。

裁判所は、スーパーマーケットに対し、偽物207本分の購入代金(約21万5000元、約450万円)の返金に加え、12万元(約250万円)以上の賠償金を李さんに支払うよう命じた。この判決は、販売業者が商品の真正性を確保する責任を怠った場合、重大な法的責任を負うことを明確に示した。

この事件は、中国における偽造品問題の根深さを改めて浮き彫りにした。高級白酒である五粮液は、そのブランド価値から偽造品の標的となりやすい。今回のケースでは、従業員による内部犯行が疑われているが、問題の核心はスーパーマーケットの商品管理体制にある。入庫時の検査が不十分だったことや、偽物へのすり替えを防ぐ仕組みが欠如していたことが、事件の背景にあると指摘されている。

(中国経済新聞)