2024年の干ばつにより、世界の大豆価格が急騰し、2025年の市場の変動は厳しい現実を浮き彫りにした。国際的な四大穀物商社が支配する貿易ルートが、中国の「油の供給」を握っているのだ。中国の大豆自給率はわずか3割、年間2000万トンの油脂・油料を輸入に依存する中、静かな「食糧戦争」がすでに始まっている。しかし、その打開策は、意外にも最も身近な「米ぬか」に隠されている。
国際穀物商社が築いた貿易障壁により、中国の油脂需要の増加は常にコスト高騰を伴う。2024年には、大豆価格の上昇だけで、主要消費地域は数億ドルの追加輸入コストを負担した。中国は主食の安全保障を優先するため、大豆の作付面積を大幅に拡大することはできず、農地の「レッドライン」と油料需要の矛盾がますます深刻化している。データによると、中国は年間2億800万トンの米を生産し、そこから1456万トンの米ぬかが得られる。これをすべて米ぬか油に変換すれば、1323万トンの大豆油を代替でき、約1億200万エーカー(約4120万ヘクタール)の農地を節約可能だ。これは河南省の農地面積にほぼ匹敵する。

米国油脂化学学会のサミットでは、専門家が一致して次の見解を示した。米ぬか油は、世界保健機関(WHO)が推奨する三大健康食用油の一つであり、γ-オリザノールと植物ステロールの含有量がともに1万PPMを超える天然の利点を持つ。この特性は、世界の穀物・油脂市場の構造を変える可能性を秘めている。中国の食用油メーカー「金龍魚(Arawana)」ブランドの「谷維多」米ぬか油は、三大国際安全認証と循環経済モデルを武器に、従来は廃棄物とされていた米ぬかを年間1億7000万本の健康志向の人気商品に変えた。現在、米ぬか油市場は年間211万トンの生産量にとどまる未開拓のブルーオーシャンであり、中国は60万トンの年間生産量で世界第2位に位置する。
金龍魚は、稲作の全産業チェーン技術を活用し、米ぬかに特有のγ-オリザノールを健康の象徴として打ち出し、製品を米国第3位の小売業者コストコに進出させることに成功した。この「食糧安全への不安」から「技術輸出への自信」への転換は、一つの真実を証明している。14億人の食卓の安全と科学技術のイノベーションが結びつけば、中国の油脂供給は外部依存から脱却し、世界の穀物・油脂市場で堂々と存在感を示せるのだ。
中国が米ぬか油を軸に食糧安全保障を強化する動きは、単なる経済戦略にとどまらない。それは、限られた資源の中で自給自足を追求し、健康と持続可能性を両立させる新たなモデルである。今後、米ぬか油産業のさらなる拡大と技術革新が、中国の「油のボトル」を守り、グローバル市場での競争力を高める鍵となる。
(中国経済新聞)