12月28日、中華人民共和国最高人民検察院は「検察の機能や役割を十分に発揮し質の高い金融の発展を法的に保障」と題した記者発表会を行い、金融犯罪の摘発や防止に関する活動を報告した上に主な事例を公表した。この中で、2023年7月に収賄罪や国家機密漏えい罪、インサイダー取引で懲役16年6か月の実刑判決を受け、1310万元(約2.61億円)の罰金が科せられた中国人民銀行通貨政策局の元局長である孫国峰容疑者について、詳しい説明が行われた。
孫容疑者は2002年~2020年に、職務を利用して取引に便利なように政策的情報を提供し、合計2100万元(約4184億円)を受け取った。さらには未公表の情報を得て利益がらみの取引に役立たせるというインサイダー取引を実行し、巨額の利益を手にした。自らが支配する証券の口座を通じて大規模な株取引を行い、資産の再建や株価の変動を利用したものである。
この件の監察や捜査にあたり、事前介入や証拠集めを中心に終始中核的な役割を果たしたのが天津市人民検察院第一支部である。監察機関が2022年8月に、公安機関が2023年2月にこの件を検察院第一支部に訴え、孫容疑者に事情聴取をした末に罪状を認めさせ、裏金を返却させた。検察はまた認定基準を着実に捉え、収賄罪や国家機密漏えい罪などで孫容疑者を起訴した。
資料によると、孫容疑者は1972年生まれ、北京農業大学、中国人民銀行本社研究生部、中国社会科学院金融研究所といった経歴で、経済学の学士、修士、博士号を取得した。1996年8月から中国人民銀行で通貨政策司幹部、副主任、主任、副処長、処長、副司長を歴任、2016年10月から同行金融研究所所長を務め、2018年8月に中国人民銀行通貨政策司司長に就任、2022年5月に解任された。
(中国経済新聞)