愛と運命に翻弄されながらも天下への道を突き進んだ「中国史上唯一の女帝」武則天の物語が、2022年BSで再放送された。総制作費3億元(約61億円)の超大作ドラマで、日本のTVドラマでは考えられない壮大なスケール感と豪華絢爛な映像美によって大唐帝国が再現され、私たちを釘付けにすること間違いなし。
ドラマの舞台は、第2代皇帝・李世民が治める唐の時代。その後宮に美しく天真爛漫な少女・武如意(ぶ・にょい)が入宮する。彼女は、李世民から寵愛を受け、「媚娘(びじょう)」という名を授かるが、徐々に巨大な陰謀と李家の帝位争いに巻き込まれていく。中国史上唯一の女帝が歩んだ数奇な運命と波瀾万丈な人生が、このドラマに凝縮されている。
ヒロイン・武則天を演じるのは、名実ともに「女帝」と呼ぶに相応しい、中国のトップ女優ファン・ビンビン。本作は、ファン・ビンビン(範氷氷)の代表作として知られ、中国のエミー賞こと「国劇盛典(TV Drama Awards)」で最優秀女優賞とパーソン・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
第2代皇帝・太宗(李世民)は、チャン・フォンイー (張豊毅)が演じている。太宗は、文武に秀でており、兄弟を犠牲にして皇帝の座に就いた。その後、最愛の文徳皇后を亡くし、宮廷入りした武如意に徐々に惹かれていく。
第3代皇帝・高宗(李治りち/雉奴ちぬ)は、アーリフ・リー (李治廷)が演じている。李治は、太宗(李世民)と文徳皇后の間に生まれた九男で、病弱ではあったが、兄たちから可愛がられ、心優しく成長した。武如意に助けられたことを機に仲を深め、生涯をかけて武則天を愛するように。
ドラマの後半では、武則天が82歳という人生の終盤を迎え、李家に天下を返上している様子が描かれている。権力の座に返り咲いた息子(中宗)と武則天が高台から遠くを見つめるシーンでは、白髪で青白い顔の武則天から哀愁が漂い、彼女の歩んだ人生が如何に厳しく孤独であったのかが感じられ、ドラマの名場面として多くの人の涙を誘った。
82歳の主人公をリアルに描き出すため、ファン・ビンビンの特殊メイクは、中国で最もプロフェッショナルなハリウッドチームによって行われた。シリコン型取り、反転型の製作から完成まで、ファン・ビンビンの特殊メイクは、アメリカのシリコン製人工皮膚を顔だけでなく首と手にも貼り付けている。また、しわをよりリアルにするため、メイクに7時間、メイク落としに1時間かけている。シリコン製マスクは密閉されており、真夏の撮影では、40度の熱と汗でファン・ビンビンの顔には、何度もかぶれと水疱ができた。
14歳の武則天を演じるファン・ビンビンのメイクは「初々しく可愛らしい」、逆に82歳のメイクは晩年の武則天を完璧に再現している。劇中ではファン・ビンビンが10代から80代までの武則天を演じており、若くて未熟な青年期、美しく落ち着いた壮年期、大きな変化を遂げる老年期など、彼女はどの年齢でも武則天の心理と状態を完璧に表現している。
美しすぎる〈女帝〉武則天。彼女はなぜ、天下に君臨できたのか?嫉妬と陰謀に満ちた後宮から、最高権力者〈皇帝〉へ。中国史上最初で最後の女帝の生涯をテーマとした歴史ドラマ「武則天」、絶賛再放送。
(中国経済新聞)