TSMC、チップの需要が伸び悩み社員に「休暇の勧め」メールを発信

2022/10/27 09:30

10月25日、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家総裁が社員向けに「十分に休假をとり、充電した後にまた頑張るように」とのメールを送信したと伝えられた。この情報で生産ペースを落とすとの憶測が広まったTSMCの株価はこの日、終値が4%も下落した。

市場リサーチ会社のCounterpointが発表した最新の予想によると、TSMC の7ナノメートルおよび6ナノメートルの製造ラインの稼働率は来年の前半に80%-90%落ち込むとのことである。

Counterpointのデータによると、TSMCは2022年1月~9月、7ナノメートルと6ナノメートルの製造ラインによる売上高が全体の30%近くに達していた。しかし、スマートフォンやパソコンの需要の後退で稼働率に影響が出ている。

2022年のデータでは、TSMCのこれら2本のラインについて、スマホ向けの製造分が32%、高性能のコンピュータ向けが38%となっており、それ以外の利用先は自動車、IOT(モノのインターネット)、データセンターなどである。

研究機関のGartnerによると、世界経済の不透明性やインフレにより、チップの成長を大きく支えているスマホの全世界の販売台数が今年は7%以上ダウンするとのことである。

また、TSMC向けチップの原料の供給会社によると、「GPU(画像処理半導体)大手のNVIDIAがビットコイン採掘用のチップの需要を落としているほか、パソコン需要も落ち込んでいるので、TSMCは当面フル稼働には至らない」と述べている。

ただしTSMCは、大ユーザーであるアップルへの需要がある3ナノメートルの製造は順調である。最近の情報で、TSMCはアップルの新型プロセッサーM2の全量を受注したという。パソコンは不振ながらもアップルは今後数か月以内に新型機種を発表する予定である。

TSMCの劉徳音会長は先週、「半導体業界はかなり厳しい状態にあり、チップの業界が需要減への手はずを整えている」と述べた。TSMCは先週、2022年度の投資予算を10%以上削減し、当面の需要について慎重な姿勢を示した。ただし劉会長は、今年の台湾全体のチップ生産額について「前年比で5分の1増加する」と予測している。

(中国経済新聞)