東京で暮らしていると、時々、中国から来た友人に聞かれることがある。「東京の人は、どうしてあまり車を持っていないのですか」。確かに不思議である。世界有数の自動車大国である日本なのに、東京の中心部では車を持たずに生活している家庭が珍しくない。一方、中国では北京や上海といった大都市ほど、高級車や大型SUVが街を走っている。中日両国の自動車市場を比べてみると、実は「誰が車を必要としているのか」という出発点からして違っている。
日本自動車工業会の2025年度調査によると、日本全体の乗用車世帯保有率は71・9%だが、首都圏より地方圏の方が明らかに高い。地方では一家に2台、3台という家庭も珍しくない。理由は簡単だ。東京や大阪では鉄道、地下鉄、バスが網の目のように走り、車がなくても生活できる。それどころか、駐車場代、車検、保険、税金を考えると、車を持つこと自体が負担になる。しかし北海道や東北、九州など地方へ行くと事情はまったく違う。スーパーへ行くにも病院へ行くにも、子どもを学校へ送るにも車が必要になる。つまり東京では車は「ぜいたく品」に近づき、地方では「生活インフラ」になっているのである。
