中国のIT大手アリババグループ傘下の決済プラットフォーム「アリペイ」と、フィンテック企業の「アントグループ」が創設20周年を迎えた12月8日、アントグループの会長兼CEOであるエリック・ジン氏が全員あてのメッセージで、韓歆毅総裁が2025年3月1日よりCEOに就任すると発表した。アントの各事業や日常管理を受け持ち、ジン氏および取締役会に報告するという。ジン氏は今後、会長職に専念した上、韓氏や管理スタッフを全力でサポートする。
アントはこれまでも、適切な時期に若手にバトンを渡してスムーズに引き継ぐ形で会社を存続させてきている。2016 年に彭蕾氏の後を継いでCEO となったジン氏は、8年経った今、バトンを韓氏に引き渡すことになった。
韓氏は情報によると、1977年生まれで47歳、1999年に清華大学経済管理学院金融学科で経済学の学士を取得、2001年には修士課程を修了した。その後中国国際金融(CICC)に入社し、投資銀行部の上級マネージャーや部長職などを経験し、大秦鉄道によるA株の株式公開やチャイナテレコムによるH株の株式公開など、一連の重要な投資事業に関与してきた。
韓氏は2011年にアリババグループに入社し、企業融資部の上級ディレクターとなり、香港での上場廃止や、傘下の金融会社「アント・フィナンシャル」との連携立て直しなどの重要な案件を手掛けた。その後2014年にアントグループに加入し、上級ディレクター、戦略投資副総裁を経て2020年に最高財務責任者(CFO)に昇格、2023年1月に執行取締役となった。そして今年3月19日に総裁に就任し、デジタル決済、デジタルコネクテッド、デジタル金融事業を統括することになった。スキルが十分に評価された模様である。
ただしアントグループは、業績が思わしくない状態が続いている。アリババの決算によると、2023年のアントグループ最終利益はおよそ238億元(約4918億元)で、2022年より23.7%ダウンしている。これから多くの事業を本格化して収入を引き上げることが韓氏の大きな課題となる。また、タオバオが先ごろ、IT大手テンセントの「Wechatペイ」の全面的な導入を発表するなど、「相互接続」という動きが広まる中、同じ決済アプリであるアリペイが本格的な競争に巻き込まれようとしている。使い心地を改善した上で利用の場を拡大し、機能を改善していくことなどにより、シェアの「防衛戦」に挑まなくてはならない。
(中国経済新聞)