中国の新興EVメーカー「蔚来汽車」(NIO)の自社2つ目のブランド「楽道汽車」(ONVO)が9月19日、ファーストモデルの「L60」をローンチした。前売り価格は以前の発表では最低21.99万元(約444万円)であったが、蔚来のバッテリーレンタルサービスが導入されれば20万元(約400万円)以下となる。「L60」は開発当初、スタンダードタイプで最低価格24.99万元(約505万円)というModel Yをターゲットとし、「Model Yの改良、サイズアップ、電池交換可能型だがコストは10%減」と位置付けていた。
蔚来の会長でCEOである李斌(Li Bin)氏が第2四半期の決算報告会で明らかにした情報によると、「L60」の売値は前売りの21.99万元(約444万円)をやや下回りながらも利益分を確保しているという。これについて、楽道汽車のCEOである艾鉄成(Ai Tiecheng)氏は、「Model Yの発表は5年前であり、この間に技術も新しくなってコストを抑えられるようになった」と述べている。
艾氏はまた、蔚来がミニバンに特化する傾向にあるのでさらなるイノベーションが必要と指摘している。「楽道」は家庭向けであって、蔚来の先端技術の部分利用で売値を20万元(約400万円)とした上、量産化することで開発コストを軽減するという。また楽道の「L60」と蔚来の一部車種を同じラインで生産し、サプライチェーンの拡大や製造設備の利用率引き上げでコストをさらに抑えていく。価格体系は「楽道」も蔚来のものを引き続き踏襲するという。
「楽道」がターゲットとしているテスラのModel Yは引き続き売れ行き好調である。上海にあるテスラのギガファクトリーは2024年8月の納入台数が前月比17%増の8.7万台、うちModel Yの売上分が4.5万台であった。
ただし艾氏はModel Yについて、「2023年に販売のピークとなり世界トップになったが、すでに発売から5年経っており、この間に中国が新エネ車について世代交代も進み競争力が大幅にアップしているので、今の業界レベルから見て競争力が落ちている」と見る。市場では「L60」のように戦える車がどんどんと増えていき、中国勢としてもModel Yに代わり世界で販売トップに立つことを狙っているという。
また一方、李氏は「L60」について、「今年の納入台数目標は2万台だ。12月には月間1万台とし、来年には月間2万台にのせる」と述べている。ローンチ直後から数を伸ばしている他社品と比べると、上り詰めるのにある程度時間がかかるという。
(中国経済新聞)