28の省、自治区、直轄市で合わせて735か所の営業所を持ち、うちサービスショップが695店という自動車販売の大手「広匯」(China Grand Auto)が、従業員に給与を払えず、閉店も相次ぎ、さらには代金支払い済みの車が納車できないという事態に陥っている。
広匯(China Grand Auto)は、江蘇省の無錫や遼寧省の瀋陽など中国各地で賃金の支給が遅れており、困り果てて退社した従業員もいるという。無錫の店に勤める従業員によると、「4月分の給料が6月に出て、5月分が7月に出て、6月分は4~5割カットだ。今は2か月遅れが当たり前になっている。それと、給料は扱う車種によって違い、業績や店全体の賃金でも開きがある」とのことである。また、「今年は車が売れない。この店は6月26日に出た給料が全員46%分しかなく、ほとんど『ただ働き』だった。最初にもらったのは93%分だった」とも話している。
さらに各地で、車を購入し代金も払ったのに引き取り出来ないという事態が相次いでいる上、ナンバープレートの合格証が金融機関の担保となっているのでナンバーが取得できない人もいる。
広匯は株式市場でも悲観的な状態であり、株価が15営業日連続で1元/株を切っている。「上海証券取引所上場規則」によると、20営業日連続で終値が1元(約21.76円)を切った場合は上場廃止もありうるとされている。
広匯はホームページによると、2016年に中国の自動車ディーラーとして初めて資産額と売上規模がともに1000億元(約21760億円)に達し、2023年には売上高が約1379.98億元(約30029億円)、新車販売台数が59.57万台となった。2023年12月31日の時点で、28の省、自治区、直轄市で合わせて735か所の営業所を持ち、うちサービスショップが695店となっている。現在はいずれも高級車であるBMW、アウディ、ボルボ、ジャガー・ランドローバー、マセラティなどの最大の取り扱い店であり、高級車、超高級車の販売店が245店となっている。
またホームページでは、業界内の影響力をバックに新エネ車の開拓にも乗り出し、専門の事業部を設けて販売網もスタッフを形成しているとも書かれている。2023年末現在、20社以上の新エネ車メーカーと緊密な関係や連絡体制を設け、AITOやアバターなどとは特約契約を結び、すでに54店舗を届け出て26店舗で営業を開始しているほか、さらに15店舗を申請しているという。
(中国経済新聞)