中国IT企業のバイトダンスは、問題の解答を撮影する機能を持つAPP「河馬愛学」を開発した。小学生~高校生を対象に宿題、暗算、作文の添削、国語や英語の作文、文学的知識などに対応するものである。
これは教育分野における大規模言語モデル(LLM)活用の模索であり、例えば「QA」という機能ではAIロボット「塩塩」が様々な問いに答えている。
ホームページによると、このAPPはLLMを生かして生徒に学習習慣を身に着けさせ、学ぶ効率を上げ、適切な学習方法を定めるほか、教員の指導に役立てることも狙いである。2022年2月には安徽省の阜南親情高校で導入されている。
バイトダンスは2022年1月、数学を対象とし生徒用に問題の撮影機能を備えた海外向けアプリGauthmathがアメリカでベスト10入りを果たした。
バイトダンスの創業者である張一鳴氏は、創立から8年経った2020年、教育を今後の主な取り組み内容とし、これに際して独自の事業ブランド「大力教育」を発表し、社内のあらゆる教育関連商品や事業を受け継いでいくとの方針を打ち出している。
中国では「双减」(競争を抑えるための策で、義務教育における宿題や塾などの負担を抑え、補習授業を厳禁すること)との策が実施されているので、「大力教育」もスマート学習や教員スキルアップ、海外事業といった方向へ方針転換している。主な内容として、小中学校の教育の提携システム「FCLASSROOM」、Ai教育システムの「Ai学」、「雪浪」、「開言英語」、さらに教員向けのサービスシステム「譚水源」といったものを用意している。
情報アプリの「今日頭条」やショートビデオのTiktokが目玉となっているバイトダンスだが、張氏はジャック・マー氏と同じく、教育を特に重視し、力を入れている。
張氏の出身地である福建省竜岩市の教育局によると、張氏はバイトダンスのCEOを辞任した1か月後の2021年6月に、市に5億元を寄贈して「芳梅教育発展基金」を設立した。さらに2023年5月に2億元を追加寄贈し、ファンドの資金総額は計7億元となった。
張氏の2人の祖母の名前をとって「芳梅」と名付けられたこのファンドは、市内の教員の研修補助、職業教育の改革や発展、情報化教育の環境改善、教員用奨学金、学生寮などのインフラ建設、さらに職業教育や芸術教育など公益事業に供与するものである。
バイトダンスの教育事業はしばらく不振だったが、今回の「河馬愛学」で立ち直りを目指している。
(中国経済新聞)