中国の国営自動車メーカー「長安汽車」の朱華栄会長は1月16日、グローバルパートナー大会で、ベンツ、BMW、アウディの3社を 「遅れている」と表現した上で、消費者に自社の製品を見るようにと強く求めた。
長安汽車の2023年の決算を見ると、販売台数は前年比8.82%増の255.31万台で、このうち自社ブランドが同11.91%増の209.78万台、全体の8割以上を占めている。
一方で、老舗ブランドであるベンツ、BMW、アウディも、電動化やスマート化の技術力を向上させている。
ベンツのマーカス・シェーファーCTO(Markus Schäfer、最高技術責任者)は2023年2月、「現在はL3システムDrive Pilotの中国導入に取り組んでいるほか、中国での自動運転システム開発に対応すべく、クラウドコンピュータについてテンセントと提携している」と述べた。2023年は中国で新型のEVおよびPHEV車種を計6タイプ発売し、年末には新エネ車のラインナップが計17車種となって、高級車分野で新世代タイプ、コアタイプ、プレミアムタイプなどをくまなく揃える予定という。
またBMWグループは2022年、研究開発費が前年比5.2%増の66.24億ユーロ(約1.07兆円)で、主に新車や第6世代のBMW「eDrive」(電動化技術)の開発、およびAI、自動運転、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)などを軸としたデジタル化につぎ込んだ。2023年はEVの「i5」、「iX2」、「i5ツーリング」を発表し、既存の各車を加えるとEVでほぼ全分野をカバーすることになる。
アウディは2022年、世界のEV販売台数は前年比44.3%増の11.82万台であったが、中国では9.8%の増加にとどまった。計画では、期待の集まるPPEプラットフォーム車種「Q6 e-tron」を2023年後半に発表予定である。また、スマートコネクテッドに特化した持続可能なモビリティーリーダーへの改革を加速し、2023年から2027年にかけては支出額の3分の2にあたる約280億ユーロ(約4.51兆円)を電動化やデジタル化に費やす。
データを見ると、BMW、ベンツ、アウディは2023年の販売台数が合計231.89万台であり、高級乗用車市場のほぼ半分を占めている。BMWは去年、中国でEVを6車種発売し、2023年の取引台数は3社の中で一番多い前年比138%増の9.9万台であった。アウディは2023年、「Q4 e-tron」と「Q5 e-tron」を発売し、販売台数は全体の4.3%にあたる31025台であった。ベンツはEV車種の販売台数が全体の3.7%の28000台となっている。
中国の新エネ車のマーケットシェアを見ると、最も多いのはBYDで、2022年は31.72%であった。以下、上汽GM五菱が7.79%、テスラが7.75%、吉利が5.37%の順であり、それ以外はいずれも5%以下となっている。
(中国経済新聞)