国慶節の〈小衆旅行〉に思うこと

2023/11/13 08:30

今年の国慶節は日本に一時帰国した。山の一人旅である。中国にも素晴らしい山があるのに、なんでわざわざ日本に?という質問をしばしば受けるが、中国ではチベットなど一部の高山地帯を除き、その多くが「観光地」であって、いわゆる自然の山道を静かに歩くことが少ない。また、コロナ禍明けで八連休となった今回の国慶節は人気観光地では異常なほどの混雑となることも予想されていた。統計によれば、この国慶節休暇期間中、八億二六〇〇万人が国内旅行をしたという。

 そんな事情もあり、今回は日本に戻り、中央アルプスを歩くことにしたというわけだ。飛行機は「私家団」(家族と思しきグループ)が多くほぼ満席だった。昨今の事情にも関わらず、コロナ禍後にどこに行きたいかという質問に日本がダントツ一位であったことを思えば、当然といえば当然である。

 今回は日本百名山の空木岳に登ってみた。バスとロープウェイで気軽に行ける千畳敷カールは紅葉の最盛期とあって、始発のバスで二時間待ちなど観光登山客でごったがえしていた。その中に少なからずの中国人観光客が含まれていたことは言うまでもない。大都市と主要観光地、それに買い物中心だった中国人観光客も、最近は「体験型」へとその関心が移ってきたようで、その中に、こうしたエコツーリズムへのニーズも増えているのだという。

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